商社繊維事業の現在地 2018年度決算から(5)/事業領域で明暗

2019年06月07日 (金曜日)

〈クラレトレーディング/過去最高更新〉

 クラレトレーディングは2018年12月期連結で過去最高業績を更新した。売上高1388億円(前期比5・4%増)、営業利益42億円(7・4%増)、経常利益44億円(7・2%増)、純利益29億円(12.7%増)の増収増益となった。

 繊維事業は売上高457億円、営業利益17億円弱の微減収増益。スポーツや高機能糸の海外販売が好調だった半面、中東民族衣装向けで30%の減収を強いられた。クラレリビングのビジネス縮小で資材は減収だった。

 樹脂・化学品・化成品は930億円、25億円強の増収増益で、アジア向けの輸出を中心に好調に推移した。

 19年12月期も過去最高を見込み、売上高1450億円、営業・経常利益45億円、純利益30億円を計画する。ベトナムでの取り組みを強化し独自素材のテキスタイル販売、製品OEMで好調なスポーツをさらに伸ばす。

〈ユニチカトレーディング/繊維を拡大・反転〉

 ユニチカトレーディングの2019年3月期単体決算は、売上高390億円(4・6%減)、営業利益8億円(26・6%減)、経常利益8億円(25・9%減)、純利益5億円(33・3%減)となった。

 繊維では、企業別注を中心にユニフォームで好調を維持。原料売りや寝装向けの販売も堅調に推移させたものの、スポーツ素材、レディース素材の販売で苦戦を強いられ、繊維トータルは減収減益だった。

 ユニチカグループは19年度で中計最終年度を迎え、ユニチカトレーディングは売上高402億円、営業・経常利益8億円、純利益6億円を計画。本体を合わせた繊維営業利益で2・5倍への拡大を見込む。

 19年度は再生ポリエステル「エコフレンドリー」をあらゆる用途に打ち出し、拡販に取り組む。

〈東洋紡STC/高機能材が好調〉

 東洋紡STCの2019年3月期単体決算は、高機能材部門の好調を背景に売上高844億円(前期比3・5%増)、営業利益16億円(14・1%増)、経常利益17億円(20・8%増)の増収大幅増益となった。

 テキスタイル事業の一部を昨年10月に子会社へ移管したため、繊維部門は売上高285億円(7・8%減)にとどまった。スポーツ関連は不採算事業の構造改善に伴い減収増益、ユニフォームは別注で苦戦し減収減益、インナーは前年並み、苦戦が続く中東が減収減益だった。

 高機能材部門では、国内フィルムが前年並み、海外フィルムが大幅増収増益、機能樹脂が増収増益、機能資材が増益。

 今期は売上高830億円、営業・経常利益15億円を見込み、繊維ではスポーツやユニフォームを反転させる。サステイナブル(持続可能な)素材拡販のための新しいビジネスモデルを検討している。(おわり)