繊維メーカーも出展/コンセプトカーなど多彩に/人とくるまのテクノロジー展2019横浜

2019年06月10日 (月曜日)

 自動車技術の専門展「自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展2019横浜」(自動車技術会主催)が5月22~24日の3日間、横浜市のパシフィコ横浜で開催された。「革新的社会インフラと融合した“くるま”進化の方向性」のサブテーマの下、600を超える企業が集まった。合繊メーカーや化学メーカーなどの姿も見え、コンセプトカーや自動車用材料・部材が打ち出された。

 東レはグループが持つ自動車向けの技術を紹介した。部品・部材では、モノコックやサブフレームなどをオートクレーブ製法で炭素繊維強化プラスチック(CFRP)化しており、車両全体の軽量化と重量バランスの最適化に貢献している。ブースでは主要構造部品の開発と製造に協力する日産自動車「ニスモ」を見ることができた。

 帝人グループは、スタートアップ企業のAEV社(豪州)とのコラボレーションによる低速電気自動車(LS―EV)を、国内の展示会で初めて披露した。超軽量ボディーや自動運転のためのシンプルなシステムなどが特徴で、今回の展示ではPC樹脂グレージングなどを搭載し、乗車時の解放感や美しいデザインを表現。このLS―EVはボディーを交換すれば多様な用途で活用できる。

 旭化成は、車室空間のコンセプトモック「AKXY(アクシー)POD」を設置した。繊維製品や樹脂製品、センサーなどを用いて快適・安全・安心な未来の車室空間を、五感(触感、視覚、聴覚、嗅覚など)を通して伝える。実際に搭乗した人は「快適だと思わせない、自然な快適性があった。自宅にいるみたいにリラックスできた」と感想を述べた。

 三菱ケミカルホールディングスグループでは、三菱ケミカルが繊維直径0・1デシテックスクラスの超極細アクリル「XAI(サイ)」の展示を行った。防音部材(フェルトなど)に数10%混合することで吸音性能を維持したまま約50%の軽量化が可能になる。そのほか、電磁波ノイズ抑制につながる、芯鞘複合アクリル繊維「コアブリッド」も並べた。

 クラレは、グループが持つ独自のソリューションを打ち出した。クラレクラフレックスは、吸音材用メルトブロー不織布(MB)を展示した。極細繊維から成る同社のMBを使用することで軽量かつ低通気性を実現できる。低エミッションに関するものでは、クラレファスニングの面ファスナー「マジックテープ」のインサート成形取り付けなどを提案した。

 日東紡は、グラスファイバー熱可塑セミプレグなどの特徴を説いた。長繊維を使った熱可塑セミプレグは耐衝撃性や強度に優れ、一般的な熱可塑シート(板材)と比較して簡略な設備で加工できる。バンパービームやバッテリートレー、ソーラーパネルカバーなどの用途が想定される。低ソリ成形用グラスファイバーやNEガラス(低誘電グラスファイバー)なども紹介した。