クラボウ「スマートフィット」/建設業中心に採用進む/アルゴリズム、アプリも改良

2019年07月11日 (木曜日)

 クラボウの熱中症対策スマート衣料・管理システム「スマートフィット」が順調に拡大してきた。2018年までで採用企業数は約20社に達する。アルゴリズムやアプリの更新・改良も順次実施しており、人手不足や高齢労働者の増加など日本の労働現場が抱える課題を解決するソリューションとして注目が高まる。

 スマートフィットは、センサーを搭載したスマート衣料で着用者の心拍数など生体情報をリアルタイムで採取し、独自のアルゴリズムによる解析で暑熱作業リスク管理、体調管理、転倒転落検知などを行うもの。クラボウのほかKDDI、ユニオンツール、セック、大阪大学、信州大学、日本気象協会で共同開発した。

 クラボウは、熱中症対策のソリューションとしてゼネコンなどへの提案を進めた。その結果、18年までに採用社数は約20社にまで拡大した。建設業だけでなく製造業にも広がりつつあるという。建設現場では人手不足に加えて労働者の高齢化が進んでいることから、労働者の体調をリアルタイムで管理することへの関心の高さをうかがわせる。

 データ解析のためのアルゴリズムの更新も進む。ベースとなるアルゴリズムは17年に7千人のデータを基に開発したものだが、その後も順次更新を続けており、19年からは新バージョンにアップデートした。暑熱作業リスク管理で新たに作業者の体の回復レベルを把握する機能を追加したほか、新バージョンでは始業前に体調を計測できる「朝一ウェルネスチェックアルゴリズム」を導入した。従来は午前10時に計測していた。始業時と終業時に実施する体調アンケート入力機能も実装し、体調管理チェックの効率化も強化した。

 解析結果はパソコンのほかスマートフォンで確認する。従来は専用スマートフォンが必要だった。この点も改善を進め、19年からはスマートフォン用アプリを導入することで専用スマートフォンを不要とした。センサーを搭載するスマート衣料も従来は合繊製コンプレッションインナータイプのみだったが、新たに綿混タイプと女性用ブラカップタイプを導入するなどバリエーションも拡大した

 同社では引き続きスマートフィットの採用拡大に取り組む。熱中症対策以外のアルゴリズム開発にも着手しており、例えば高齢労働者の体調・安全管理など、今後の日本で不可欠となる“働き方改革”に貢献するソリューション提供を目指す。