クローズアップ/八木通商ヨーロッパ 代表 田中 義巳 氏/欧州での販売を2倍に
2019年07月17日 (水曜日)
八木通商が欧州市場の開拓を加速する。基点となるのが八木通商ヨーロッパ(イタリア・ミラノ市)で、イタリアとフランス、ドイツの3カ国を積極的に攻める。今月1日に着任した田中義巳代表は「欧州向けの売り上げを2倍にすることが当面の目標」と語る。今後の拡販戦略などを聞いた。
(ミラノ=桃井直人)
◇
――欧州のファッション市場をどのように見ていますか。
天候不順の影響などで衣料品が売れておらず、活気がないという印象を持ちました。ただ、われわれがターゲットにしているトップメゾンは勢いを持続しています。ファッション市場は世界的にも二極化が進展しており、元気のある高級ゾーンとの取り組みがこれまで以上に必要になると思います。
――その中で八木通商ヨーロッパの役割は。
元々は日本市場向けの拠点でしたが、今後は欧州市場での生地の拡販のための基点として積極的な戦略を進めます。欧州での生地販売はドイツを主力としていましたが、フランスの高級メゾンとの取引も出てきました。これからはイタリア、フランス、ドイツの3カ国に攻勢をかけ、北欧や英国にも目を向けます。
まずは「ミラノ・ウニカ」(MU)への出展などで評価を得ているデニムを伸ばします。イタリアにはない、ちょっと“変わった”デニムなどを打ち出します。ボンディングのテクニックを使った生地などの提案も強めます。これらを切り口にして、ベーシックな生地の販売も増やす方針です。
――拡販のための戦略は。
トップメゾンに太いパイプを持つエージェントとの取り組みを深めることが重要になります。日本品の販売拡大が第一の目標になりますが、顧客の要望があれば、中国品の展開も検討します。以前、中国・上海に約8年間駐在していたので、その時の経験を生かしたいですね。
MU出展やエージェントの活用などを通じて欧州向けは着実に伸びています。今後もさまざまな取り組みを行い、1年半後の2020年12月末には欧州市場での販売を現在の2倍にします。
――課題はありますか。
欧州市場の深耕に当たって一番の課題は納期です。本社と連携を取りながら、リードタイムを改善するようなシステムの構築を目指します。そのほか、エージェントはこれからも活用する方針ですが、「八木通商」の認知度、知名度向上にも注力したいと考えています。