ダイワボウノイ/超臨界染色の実験開始/PP染色の実用化めざす

2019年07月19日 (金曜日)

 ダイワボウノイは染色加工を中心に革新的な生産プロセスの活用に取り組む。海外の染工場と連携し、超臨界染色によるポリプロピレン(PP)の染色に関する実験をこのほど開始した。PP染色の実用化を進めることで同社の衣料用PP短繊維「デューロン」などの用途拡大を目指す。

 超臨界染色は、超臨界流体にした二酸化炭素を使用する染色方法。物質は気相と液相の相転移が起こる温度・圧力の上限(臨界点)を超えると気体の拡散性と液体の溶解性を併せ持つ超臨界流体となる。これを水の代わりに使用することで無水での染色が可能なほか、通常の染色方法では染めることのできない素材への染色も可能になる。

 超臨界染色は既にポリエステルの染色で実用化されている。タイなどで商業レベルでの導入が進められており、メガスポーツブランドで採用が拡大する。一方、超臨界染色によるPPの染色は原理的に可能であり、実験レベルでも成功しているものの物性面などでの課題があり商業レベルでの実用化には至っていない。

 このためダイワボウノイは他社に先駆けて超臨界染色でのPP染色の実用化を目指す。超臨界染色装置は高圧容器に関する規制の関係で日本での導入が事実上不可能なため、設備を既に導入している海外の染工場と連携して研究開発と実験をスタートさせた。

 ダイワボウグループはダイワボウポリテックがPP短繊維を生産しており、衣料用はダイワボウノイがデューロンのブランドで販売している。超臨界染色でのPP染色を実用化することで、従来は染色が難しいことで用途が限られていたPPの需要拡大が期待できる。特にスポーツやカジュアルでの実用化を視野に入れる。