繊維ニュース

戦略明確化する商社投資/原料起点、生産現場改革/デジタル活用ビジネスも

2019年07月23日 (火曜日)

 商社が主力とするOEM/ODM事業は、小ロット・短納期化に加え、ASEAN地域での人件費上昇など課題は多い。サステイナブル(持続可能な)素材提案を進めるが、ここに来て一部に同質化も見られる。次代の商社のビジネスモデルとは何か。最近の投資の側面からそれを見る。(鈴木康弘)

 伊藤忠商事はOEM/ODMビジネスで「主導権を持った原料起点のバリューチェーンの構築」を基本方針に、さまざまな投資を行う。中国の山東如意科技集団と共に米ライクラ社を買収し、スパンデックス「ライクラ」、吸汗速乾ポリエステル「クールマックス」、軽量保温中わた「サーモライト」などを手掛ける。

 サステイナブル素材についても、日本環境設計(東京都千代田区)に出資し、同社製再生ポリエステルペレットを用いたアパレル製品などの製造体制の構築を共同で推進。その一方で、ケミカルリサイクルポリエステル「レニュー」を中国企業と20春夏から打ち出す。フィンランドの紙パルプメーカーのメッツァファイバー社と、化学溶剤を使用しない「メッツァリヨセル」の共同開発も開始した。投資によって原料を確保し、それを糸、テキスタイル、製品までつなげて、OEM事業を高度化する。

 原料段階で主導権を握って製品までの一貫ビジネスモデルを描くのが伊藤忠商事なら、日鉄物産は逆に縫製面からアプローチする。同社は「イノベーション推進室」を設置し、労働集約型のOEM/ODM事業の業務の効率化、生産性向上に向けた投資を進める。

 昨年11月に出資したSYMBOL(東京都千代田区)とは、3Dボディースキャナーなどを活用し、「カスタマイズのツールとしてデータを生産工場のアパレルCADにつなげる」ことで、業務の効率化を図る。

 メイキップ(東京都新宿区)にも今年3月に出資。同社の「ササゲ.AI」は、採寸・撮影・原稿業務を人工知能(AI)技術や3D技術で自動化するサービス。AIの画像認識技術により、撮影した画像から自動で必要部位を識別、採寸する。この技術を縫製や採寸検品に取り入れる。

 5月に出資したのは衣料生産プラットフォームのシタテル(熊本市)。日鉄物産は社内システム「ウインズ」をリニューアルしており、生産管理面でシタテルを活用する。「OEM/ODMを継続的に成長させるため、生産性を高める投資を行っていく」

 蝶理は、北陸産地企業と連携した海外合弁ラインの敷設などの投資案件を進める。業態変革を目指す三井物産アイ・ファッションは、「クラウドファンディングを立ち上げて、当社の自社ブランドを絡めて顧客ブランドの価値向上を図る」ことを検討。

 豊島はCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)ファンドを通じて、ITベンチャーに投資する。その一方で、日本環境設計、スマートアパレル開発のXenoma(東京都大田区)、インドネシアのオンライン・ディスカウントモールのVIPプラザインターナショナルにも事業投資。商社は、OEM事業の高度化を図りながら、デジタライゼーションの新ビジネスも模索する。