帝人 アラミド事業本部/アラミドの用途拡大に力/景気減速などのリスク回避

2019年08月08日 (木曜日)

 帝人は、アラミド繊維の用途拡大に力を入れる。パラ系とメタ系ともに販売は順調に推移しているが、「自動車向けの比率が高く、景気が下振れれば負の影響が出る可能性がある」(アラミド事業本部)とし、用途の幅を広げることで潜在リスクを回避する。自動車向けでは電気自動車(EV)への対応に目を向ける。

 パラ系アラミド繊維は、世界的に幅広い用途で旺盛な需要が続く。「トワロン」はタイヤの補強材やインフラ関連が好調で、「テクノーラ」も海底油田関連などが堅調。メタ系アラミド繊維「コーネックス」「コーネックス・ネオ」はフィルター関連や防護衣料向けで伸長を見せる。

 2020年3月期は、パラ系アラミド繊維で前期比5~10%の数量増を目指し、メタ系アラミド繊維は数量横ばいながら、金額ベースでは成長を見込む。拡大基調は大きく変わらないとみているものの、自動車向けが多く、潜在的なリスクはあるとし、多用途展開を継続成長に結び付ける。

 パラ系アラミド繊維では、EV化の流れに視線を送る。「EV化で不要になるゴム資材が出てくる。モーターやバッテリー回りでアラミド繊維が新たに活躍できる分野はないか模索している」段階。電池セパレーターの安全性向上などを候補に挙げ、異業種との連携による開発を進めている。

 メタ系アラミド繊維では、価格変動が激しいフィルター向けを意識的に減らし、産業資材を開拓する。ターボチャージャーホースや繊維強化プラスチック(FRP)などへの提案を強める。衣料用途では、防護衣料やワークウエアの深掘りを図るほか、アウトドアウエア分野への進出も加速する。