TPL/TJT/産資向け各品種で増産体制/再生原料の調達ソースも模索

2019年08月19日 (月曜日)

 帝人グループのポリエステル長・短繊維製造タイ子会社、テイジン・ポリエステル〈タイランド〉(TPL)とテイジン〈タイランド〉(TJT)は、本年度上半期(2019年4~9月)、産業資材向けが支える形で引き続き業績が好調に推移している。需給タイトな状態が続くポリエステル短繊維は、自社設備増強と委託生産の双方で増産に取り組む。ポリエステル長繊維は、期初から減速感が見られる半面、スポーツ衣料向けで再生ポリエステルの要望が急増。これを受け、良質な再生原料確保に着手する。

 (バンコクで泉克典)

 産業資材向けポリエステル短繊維の絶好調が業績を支える構図は前期から変わらない。逆浸透膜用の短カットわた、自動車内装用の原着わた、衛生品用バインダー繊維、不織布構造体向け機能わたなど、ほぼ全用途で需要が依然旺盛でフル生産が続いている。生産が需要に追い付かない供給タイト状態が長く続いているため、今後、各品種で増産に動く。

 特に、短カットわたは供給先の日欧米メーカーいずれもが需要が堅調で、早期の増産が急務となっている。そのため来夏の立ち上げを目指してTPL内で休止中だった1系列を再稼働させる。自動車天井材などに用いる原着わたも東南アジアでは希少な多色原着わたの需要が根強いことからTJTで1系列増設する。

 衛生品用バインダー繊維は、かつてのグループ企業で現在も密接に連携するインドネシアのTIFICOでのOEM拡大で対応する。TIFICOには帝人グループの構造改革に伴い日本から生産設備の一部を昨年移設し、現在稼働準備を進めている。既存の各需要家への品質認証とともに、生産移管を進める。東南アジアローカルメーカーへの供給も、東南アジアのグループ各社と連携して模索する。短カットわた、紡績糸用わたもTIFICOへの一部委託生産で生産増を図る。

〈再生ポリエステルへの要望急拡大〉

 ポリエステル長繊維は、主力のスポーツ衣料向けで生産量の伸びではやや踊り場に差し掛かっているが、一定の生産量を確保。半面、欧米スポーツアパレルからの再生ポリエステルの要望が急拡大しており、対応が急がれる。需要の伸びに対し、良質な再生原料の確保が課題となる。タイでは国内の使用済みペットボトル回収体制も未整備な上、廃ポリエステル輸入も禁止されている。自社もしくは他社による独自の再生ポリエステルフレーク調達の仕組みを構築することを検討する。

 このほか人手不足が顕在化する中でのフル生産継続で、現場の労働負荷も高まっているため、労働環境向上と生産の効率化の取り組みを並行して進める。前期から既に、ワーカーの労働強度を下げるため自動化設備を積極導入し、工場動線の見直し、日系コンサルタントとの連携による管理システム更新なども行ってきたが、これらの取り組みを継続する。7月からは、週休二日制も実施している。