強まるサステ潮流(上)/何を残し、何を残さないか

2019年08月20日 (火曜日)

 「サルヴァトーレ・フェラガモ」本店の地下にあるフェラガモ美術館で、サステイナビリティー(持続可能性)展示がされていると聞き、フィレンチェに行った。さまざまなところでサステイナビリティーの大切さがアピールされていた。

 7月に開かれた「ミラノ・ウニカ(MU)20秋冬」の開幕式のテーマは、サステイナビリティーとデジタル革新だった。サステイナビリティーは昨今、繊維業界に関わるどの分野でも大きく取り上げられている。それは、業界が継続できるかどうか、地球や人類が持続できるかどうかという重要な課題に直面しているため。

 企業の社会的責任(CSR)の観点からもサステイナブルには高い関心が寄せられている。欧州では、消費者に対するイメージ向上を狙い、顧客誘引力を上げようという考えで行われる活動はCSRとして評価されない。社会、環境、経済の三つの観点から、企業価値を引き上げていかなければいけない。

 MU会長兼レダ社社長であるエルコレ・ボット・ポアーラ氏がサステイナビリティーに取り組むことになったきっかけは、2000年ごろに中国を訪れたことだと言う。大量のゴミの山を見て大変なことになると感じた。先進国とされる日本と欧米を足した人口は7億人。ここでは既に大きな無駄を生み出す消費社会が出来上がっていた。中国の7億人がここに加わると、14億人から大量のゴミが出される。誰かが手を挙げてファッション業界の無駄を真剣に議論するべきだと考えた。

 サステイナビリティーにはコストがかかる。そのため少しずつ継続して取り組む必要がある。15年前にウールメーカーとしては初めて、EU環境管理監査制度(EMAS)を取得した。EMASは、企業やその他の組織が環境配慮への業績や実績を評価、報告、改善するために欧州委員会によって開発されたプレミアム管理商品。EMASからは2年ごとにCO2発生率が改善されているかなどのチェックが入る。

 以前、ボット・ポアーラ会長がスマホの待ち受け画面を示し、「子供たちにより良い世界を残したいか? 負の遺産を残したいか?」とサステイナビリティーの重要性を語ったことを思い出す。

(インプレス代表 川上淑子、取材協力:ミラノ・ウニカ/イタリア大使館貿易促進部)