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特集スクールスポーツウエア(1)/商品と企画力でシェア拡大へ

2019年08月21日 (水曜日)

 2019年の入学商戦でのスクールスポーツ事業は、全体的に新規採用校の獲得が堅調に進んだ。しかし、一部スポーツ専業メーカーによる事業再編で活発化したシェア拡大に向けた動きもひと段落したことに加え、年々深刻になる生徒数減少の影響もあり、来入学商戦もシェア争奪が激しくなることが予想される。各社は次の成長を見据えた戦略が必要になってくる。

〈学生服メーカー/新規採用校の獲得堅調〉

 学販スクールスポーツウエアメーカーで構成する任意団体のSSC会(スクール・スポーツ・クラブ)によると、18年度のスクールスポーツウエア全品目の総販売数量(13社)は前年度比1・6%減の1801万3千枚だった(6面参照)。一部のスクールスポーツ専業メーカーの事業見直しによって活発化したシェア拡大の動きも落ち着きを見せる。

 その中でも、大手学生服メーカーは19年入学商戦で堅調に獲得校を増やした。明石スクールユニフォームカンパニー(明石SUC)は、ライセンスブランドの「デサント」を中心に販売を伸ばし、増収の見通し。19年入学商戦でデサントの新規採用校は100校以上となり、累計では1800校を超えた。

 菅公学生服は、19年入学商戦から販売を本格化させた自社ブランド「カンコープレミアム」の採用が広がりつつある。機能性やデザイン性など「スポーツブランドにも負けないクオリティー」が評価されたことで、19年入学商戦では約60校が採用。そのうち9割が新規校と言う。

 トンボは「ヨネックス」ブランドの新規採用校が100校を超え、累計で千校を突破。ヨネックスや自社ブランド「ビクトリー」など、全体では約260校の新規採用校を獲得するなど、順調に売り上げを伸ばした。

 特に昇華転写プリントでの提案が採用校増に貢献。新規採用校の中での昇華転写採用の割合も高まっていることから設備増強も視野に入れる。

〈自社ブランド強化の動きも〉

 「ライセンスブランドでは累計千校が限界」と言われたライセンスブランドで「どこまで伸びるのか」との声も少なくない。各社は特色を持たせた自社ブランドの商品でシェア拡大を狙う動きを始めている。

 明石SUCは20年入学商戦から自社ブランド「アスリッシュ」を打ち出す。体操服だけでなく、課外活動などの校外着としても着用できる新たなカテゴリーを意識した。

 Tシャツにポリエステルの撥水(はっすい)糸を使用し、汗染みや蒸れを防止。トレシャツやトレタイツにはダンボールニットを採用することで保温性を高めるなど、シンプルなデザインに加えて機能性も兼ね備えている。

 菅公学生服は19年入学商戦から「カンコープレミアム」を打ち出している。防風や保温、耐久、軽量性能を持つオリジナル素材「グランガード」を採用。デザインはシンプルさを追求、機能性とデザイン性を高めたワンランク上のウエアに仕上げた。

 20年入学商戦へ向けては今春並みに採用が決まってきており、今期(20年7月期)に目標とするスクールスポーツ事業の売上高100億円(18年7月期は95億円)を視野に入れる。

 トンボは「ビクトリー」ブランドの「ピストレ」が堅調に販売を伸ばしている。ウオームアップウエアとしての「ピステスタイル」に着目した体操着で、素材には独自開発した「ピステックス」を採用。防寒・防風性に優れるほか、撥水や寒冷地向け肉厚起毛などラインアップも充実していることから採用校も広がってきた。

 菅公学生服と明石SUCがシンプルでスタイリッシュなデザインを打ち出す一方で、トンボは美咲工場(岡山県美咲町)に昇華転写プリントの設備を持つ強みを生かし他社に表現できないデザイン性でシェアを拡大している。

〈スポーツ専業メーカー/機能性素材打ち出しシェア拡大へ〉

 スポーツ専業メーカーも、19年入学商戦で採用校を伸ばしたところが多かった。ギャレックス(福井県越前市)は新規獲得校が314校と、前年の入学商戦の200校超を大きく上回った。

 独自に開発した「ウインドバスター」使いのウエアや、同商戦で初投入したカラー杢(もく)のウエアが貢献したほか、自社工場への早期計画発注によって追加注文への対応スピードを引き上げたことなどが評価され、採用校を伸ばした。

 20年入学商戦でもさらなる事業拡大を見据え、カラー杢のバリエーションを広げるほか、昇華転写プリントも品番を増やすなど、商品の充実を図る。東北や北海道など、シェアの低いエリアの開拓にも力を入れる。

 ユニチカメイト(大阪市中央区)も19年入学商戦で新規採用校が150校を突破した。一部スポーツ専業メーカーの事業見直しによる市場再編が加速した18年の入学商戦に比べると、新規獲得は少なめだったが、大型物件の採用が決まるなど善戦した。

 20年入学商戦に向けては、防風や防汚といった機能素材を採用した商品を拡充するほか、自社ブランド「Uムーヴ」から新商品を投入し、新規採用校の獲得へつなげる。

 ミズノはスポーツ競技で培った機能性を取り入れたウエアや、欠品をなくすための予測の精度を高めた生産体制で、19年入学商戦は前年並みの売り上げを見込む。

 20年入学商戦に向けては、17年に投入し好評だったウエアのテイストを引き継いだ新商品を投入する。生地には吸汗速乾素材「ナビドライ」を採用。縫製する箇所を減らしてコストダウンを実現するなど、デザイン性も持ちながら、低価格で手に取りやすい商品に仕上げた。