繊維ニュース

特集スクールスポーツウエア(3)

2019年08月21日 (水曜日)

〈トンボ/「ヨネックス」累計千校突破/「ピストレ」も販路広がる〉

 トンボは今入学商戦で「ヨネックス」ブランドの新規採用校が100校を超え、累計で千校を突破した。ヨネックスや自社ブランド「ビクトリー」など全体では約260校の新規採用校を獲得したことで、2019年6月期は前期比増収となりそうだ。

 今入学商戦は、昇華転写プリントでの提案が採用校の増加に貢献した。同社は美咲工場(岡山県美咲町)に昇華転写プリントの設備や裁断機を置くが、自社で設備を持つ学生服メーカーは少ない。文字や写真といった細かいデータや、グラデーションの再現など、他社が表現できないデザイン性で引き合いが増えている。

 営業統括本部の河本光正スポーツMD本部長は「工場に人員を増強するなど、生産体制も安定し、短納期・短サイクルで対応できている」と話す。昇華転写プリントのウエアは、部活動のウエアとしてチアリーディングやマーチングなど、体操着以外での採用も広がりつつあるほか、「新規採用校の中での昇華転写採用の割合が3~4割と高まっている」ことから設備増強も視野に入れる。

 ウオームアップウエアとしての「ピステスタイル」に着目して開発した「ピストレ」も採用が拡大。薄く軽量で保温性が良いといった機能性のほか、昇華転写プリントとの組み合わせによる多彩なデザインが評価されている。

 ピストレに採用している独自開発素材「ピステックス」では、撥水(はっすい)、裏起毛、制電、寒冷地向け肉厚起毛の4タイプを展開。西日本が中心だった販路も、東北や北海道といった寒冷地など、全国的に広がってきた。

 来入学商戦に向けては「昇華転写プリントとピストレの2本柱で提案を強める」ほか、ヨネックス、ビクトリーで引き続き200校超の新規採用校の獲得を目指す。昨年6月から稼働するトンボ倉吉工房スポーツ館(鳥取県倉吉市)では、初年度に計画していた年間4万点の生産量を上回った。2年目は倍増近くまで増やし、自社比率を高めることで納期対応力を強める。

〈菅公学生服/「カンコープレミアム」採用拡大/都市部以外へも広げる〉

 菅公学生服は、自社ブランド「カンコープレミアム」の採用が広がっている。今入学商戦では約60校が採用、来入学商戦への走り出しも順調で、今期(2020年7月期)に目標とするスクールスポーツ事業の売上高100億円(18年7月期95億円)を視野に入れる。

 カンコープレミアムは「カンコー」ブランドのプレミアムラインとして今入学商戦から販売が本格化した体操着。防風や保温、耐久、軽量といった機能を持ったオリジナル素材「グランガード」を採用。

 着用時の美しさと高い運動性を追求した。シンプルでありながらも、スタイリッシュなデザインで、色味にもこだわった。

 機能性やデザイン性など「スポーツブランドにも負けないクオリティー」が評価されたことで、今入学商戦では約60校が採用、そのうち9割が新規校と言う。スクールスポーツでは、学校が独自色を出すために別注対応が多かったが、定番での決定比率が高く、生産効率の向上にも貢献。今入学商戦では中学校の採用が多かったものの、「従来とれなかった高校の採用が決まってきている」ことから、来入学商戦に向けて高校へのアピールを強める。

 今入学商戦では、東京や大阪、名古屋といった都市部の学校での採用が多かったが、来春に向けては「決め切れなかった地方へも広げる」ことで拡販に力を入れる。

 高い透け防止機能を持つスポーツウエア「ミエンヌ」や、通気性の良い織物性ハーフパンツ「ハーフレックス」も順調に販売を伸ばしていることから、カンコープレミアムと併せて訴求を強める。

 新ブランド「カンコーノームコア」も提案を今年開始。普遍的なデザイン、バリエーション豊かな素材、2次加工マーキングシステムの3段階の選択によって、それぞれの学校に合ったオリジナルのウエアを供給できることが特徴のブランドとなる。主に小・中学校を中心に販売を強める。

〈ギャレックス/商品力と納期対応に力/自社工場持つ強み発揮〉

 ギャレックスの2019年6月期決算は、売上高が前期比3・2%増の48億円だった。同業他社の事業縮小に関連して提案強化を図って採用校を増やしたことや、国内外に編み立てと縫製の自社工場を保有する機能を生かして商品力と納期対応を強めたことなどが増収に寄与した。20年入学商戦に向けては、新商品の投入やブランディングの強化による付加価値戦略の深掘りなどでさらなる拡大を目指す。

 19年入学商戦の新規採用校は、自社ブランド「ギャレックス」、ライセンスブランド「フィラ」「スポルディング」合わせて314校だった。例年、新規校獲得と同時に同業他社に奪われてしまう学校もあるが、今回の商戦ではそれが「少なかった」(田中誠一郎スクール営業グループマネージャー)と言う。

 新規校獲得という「攻め」と既存校の維持という「守り」の両輪がうまくかみ合ったことについて田中マネージャーは、「機能性やデザインといった商品力と、納期対応が評価されたのではないか」と分析する。

 商品力という点では、3年前から展開する防風素材「ウインドバスター」を使ったウエアが好調なほか、19年入学商戦で初投入したカラー杢(もく)のウエアも人気を博した。カラー杢はギャレックスブランドのみの展開だったが、来入学商戦ではスポルディングにも投入する。

 納期対応は、中国、国内に自社工場を持つことが強み。早期発注で春には工場スペースを空けておき、追加オーダーに素早く対応できる体制をとったところ、これがうまくいった。「国内工場だけでは難しいが、中国にも(工場が)あることで柔軟な動きができた」

〈明石SUC/「アスリッシュ」採用広がる/「デサント」と両輪でシェア拡大へ〉

 明石スクールユニフォームカンパニー(明石SUC)は、来入学商戦に向けて販売を本格化させている体操服の自社ブランド「アスリッシュ」の採用が広がっている。営業本部の前田健太郎スクールスポーツ部長は「待望のオリジナルブランドで、今までにないテイストの体操服ということもあり、中学・高校で引き合いが増えてきている」と話し、市場の開拓を進める。

 アスリッシュは「アスレチック」と「スタイリッシュ」の二つの意味を込めた新ブランド。体操服だけでなく、課外活動などの校外着としても着用できる新たなカテゴリーを意識した。

 ラインアップを3タイプに分けているのも特徴。バイカラーが印象的な最上位となるS(スタイリッシュ)ライン、シンプルなデザインで洗濯耐久性を兼ね備えるA(アスレチック)ライン、ソフトな風合いで次世代のデザインを意識したR(レギュラー)ラインの3ラインをそろえる。

 Tシャツにポリエステルの撥水(はっすい)糸を使用し、汗染みや蒸れを防止。トレーニングシャツ、トレーニングタイツにはダンボールニットを使い、保温性を高めた。アイテムが充実していることに加え、デザインと機能性を兼ね備えていることが評価され、「実績校が出てきている」。

 同社のスクールスポーツ部としては初めてプロモーションビデオを作成。現役の高校生が出演し、リアルな着用をイメージできるものになっている。「今まではマネキンや商品説明のみで、着用イメージが湧きにくかったが、動画で伝えることで有効的にアピールできている」と前田部長は話す。7月には特設サイトもオープンし、プロモーションビデオと併せて発信を強める。

 好調な「デサント」ブランドからも、斜めにファスナーが付いたスラントファスナー仕様のウエアなど、特徴的な商品を打ち出し、訴求を強める。来入学商戦に向けても、「2020年に累計採用2020校という目標に向けて手応えを感じつつある」とし、デサントとアスリッシュの両輪でシェア拡大を図る。

〈ユニチカメイト/19入学も「プーマ」好調/学体衣料以外も拡大へ〉

 ユニチカメイトは2019入学商戦で「プーマ」ブランドの採用校を順調に伸ばした。18商戦では累計100校だったが、19商戦は目標としていた150校を超えた。20商戦では200校を目指す。

 プーマの展開は14年からプーマジャパンと日本でのプーマブランドの学校向け体育衣料品類等の販売に関する契約を結んでスタート。以来、ブランド知名度の高さやユニチカグループで協業する機能素材使いによる差別化戦略、提案強化などが奏功して順調に採用校を伸ばす。

 清水義博社長によると「前年よりも新規獲得校数は少なめだったが、大口案件も獲得できた」と同ブランドの堅調ぶりを強調する。地域別で見ると、首都圏や京阪神での伸びが顕著だが、「概ね各地域で満遍なく採用されている」と言う。「まだまだ拡大の余地はある」とし、自社ブランド「Uムーヴ」と合わせ、事業拡大を狙う。

 19年3月期は、売上高が18億円弱で前期比ほぼ横ばい。利益もほぼ横ばいだった。20年3月期は増収計画で臨んでいるが、「モデルチェンジ校の数が少なそう」と厳しく見通す。物流費や原料、加工料金などのコストアップも各社共通ながら頭の痛い問題。

 こうした環境下で力を入れるのが、学校体育衣料以外の製品OEM。園児服、チームオーダー、サービスユニフォーム系などを従来も受注してきたが、国内に強固なパイプの協力縫製工場が幾つもあり小ロット・短納期ニーズに対応できる点や、ユニチカグループの豊富な開発素材を活用できることなどを強みに今後は本格的に拡大を狙う。その先に、売り上げ20億円台への回復があるとする。

〈ミズノ/20年から新企画導入/高付加価値にこだわる〉

 ミズノは高価格でも高付加価値を求める学校への販促を強化してきた。スクールスポーツビジネスでは「いかに予測の精度を高め、欠品なしに商戦を乗り切り、しかも在庫増を抑えるか」が最重要課題であると言う。

 納品先の90%以上を高校が占めている。圧倒的に公立校が多く、このうちの約70%が3月に合格発表を行う。例えば、3月15日が発表の場合、その日の午後に生徒にジャージー上下を試着してもらい全員分のサイズを把握する。その後、生徒の氏名や校章を入れた後、4月2日に納品するという極めてタイトなスケジュールで同ビジネスと取り組んできた。

 例年、その年の入学商戦の結果が出るのは6月末。12月末で締めるビジネスが残されているため、6月末での実績はその年の販売のほぼ7割に相当する。ミズノはジャージー上下、Tシャツ、パンツ、シューズなどを販売しており、19年6月末では「前年並みを確保できた」と言う。

 20年に向けては、新企画の販売を開始する。2017年に投入し「採用が相次いだ」企画のテイストを引き継いだ。素材には吸汗速乾「ナビドライ」を導入する。縫製する箇所を減らしコストダウンを実現するとともに、デザイン面にも配慮した。「デザインと価格とをバランスさせた当社としては低価格」な自信作として打ち出している。

〈オゴー産業/サクラクレパスで体操着〉

 オゴー産業(岡山県倉敷市)は来入学商戦に向け、文具メーカーのサクラクレパス(大阪市中央区)と共同開発した商品を打ち出す。認知度が高い「クーピー」「クレパス」のロゴを入れた体操着を商品化。体操着やTシャツ、ハーフパンツにはオーガニックコットンの「オーガビッツ」を使い、肌触りの良さや安心感を高めた。

 アクセントとして体操着などの上衣の身頃左下やハーフパンツの後ろポケット、靴下の側面に、多くの人になじみがあるクーピーやクレパスのネームまたは刺しゅうを入れた。入学式や誕生日、お祝いごとなどのギフト需要も見据えた展開も想定する。