帝人フロンティア〈ベトナム〉/労務管理体制の整備に力/資材、内販、輸出も探る

2019年08月28日 (水曜日)

 ベトナムに自社縫製工場も保有して対日縫製品OEM/ODMを手掛ける帝人フロンティア〈ベトナム〉の2020年3月期ここまでの商況は、売上高が前年同期比5%増で推移している。苦戦も予測した19秋冬向けが結果的に堅調だった。20春夏も現時点では計画通りという。今後は協力縫製工場の工場移転に伴って労務管理体制の整備に取り組むとともに、新ビジネスの構築にも力を入れる。(ホーチミンで吉田武史)

 三ツ股健次社長によると19秋冬向けの縫製品OEM/ODMは、大きく発注数量を減らすアパレルがあったものの、その他でカバーして前シーズンを上回ることができた。20春夏向けも順調にオーダーが入りつつあり今後の見通しもほぼ計画通りになると見る。問題は2月、3月の閑散期。平準化のためにもこの時期にTシャツやポロシャツの受注が増えることに期待する。

 ベトナムの最低賃金は四つの地域に分けて定められている。19年は、最も高額に設定されている第1種地域が418万ドン(約2万円)、最も低い第4種地域が292万ドン(約1万4千円)と大きな差があり(共に月額)、毎年引き上げられている。同社の協力工場の中でも、第3や第4種地域に工場を移転したり、一部ラインを移設する動きが出てきた。

 三ツ股社長はこの傾向を「ミャンマーやバングラデシュに(受注が)流れていかないようにするためにも、低賃金地域へのシフトは必要」と見ているが、課題も出てくる。

 同社は約400人を抱える自社縫製工場を持つほか、ホーチミンの事務所にも36人のスタッフがいる。品質管理スタッフは毎朝事務所に出社した後、担当の協力工場に出向くが、協力工場がホーチミンから距離的に遠くなると、宿泊が必要になる。これまでは宿泊の必要性もなく、規定もなかった。しかし今後はその必要性に迫られるため、「公平性に配慮」しながら規定を策定するとともに、福利厚生の充実を図って人材の確保に努める。

 人材という点では、産業資材関連などで内販や輸出開拓に取り組んでいることから、「ものを売ることのできる人材も必要」になる。人材確保に力を入れながら、資材、内販、輸出といった「新たなビジネス」の構築を進める。