クラボウ・ベトナム/「クラボウ品質」実現へ/良質な現地製生地 供給

2019年09月05日 (木曜日)

 クラボウが2018年12月に設立したベトナム法人、クラボウ・ベトナムは、同国の協力織布工場への技術指導を進めるなど「クラボウ品質」実現に向けた動きを強めている。今後は主要事業に位置付ける日系アパレルやSPAへの生地供給の早期実現を目指す。

(ホーチミンで吉田武史)

 中谷浩敏社長によると同法人設立の狙いの一つは、これまでに実績を積んできた同国向け糸販売と同国での丸編み製品OEMを深掘りすること。二つ目は、同国の協力生地工場との連携を深めて織物を日系アパレルやSPAに供給する事業を立ち上げること。設立以降、特に織物供給の体制整備に力を注いできた。

 ベトナム中部、ダナンに織布工場を持つ現地企業と技術提携契約を結んだ。ここにクラボウの技術指導スタッフ2人を派遣して、品質レベルの引き上げを進めている。ダナンの協力工場の品質を「日本の徳島工場やタイのクラボウグループのレベルに引き上げる」ことが当面のテーマ。

 織物の種類は綿100%、綿・ポリエステル混、綿・ポリウレタン混などで、協力工場の工程は製織と整理加工。糸は国内外からの購入になるが、糸からの差別化にも力を入れる。例えばタイのサイアム・クラボウが生産する2層構造のデニム糸などがその対象。

 中谷社長は「ベトナムでは商社の立ち位置になるが、当社には素材メーカーとして培ってきた技術力がある」と品質レベル向上に自信を見せ、下半期、来期にかけて生地供給の本格スタートを予定する。