特集 AFF・東京2019 9月25~27日/東京池袋・サンシャインシティ文化会館、ワールドインポートマート4階Aホールで/過去最多の600社が出展
2019年09月18日 (水曜日)
〈靴・かばんエリア、QRエリア新設/東南アジア生産にも対応〉
日本最大のアパレルOEM/ODM展示会「第35回AFF・東京2019」が東京・池袋のサンシャインシティ文化会館と、隣接するワールドインポートマート4階Aホールで開催される。主催はAFFと日中経済貿易センター。会期は9月25~27の3日間。米中貿易摩擦が激化する中にあって対日貿易の拡大を狙う中国企業は多く、熱気ある展示会になりそうだ。出展者数は前回の481社を大きく上回る600社で過去最多。
これまでに同展は、時代の変化に応じて、「東南アジア生産対応エリア」や「ODMエリア」などを設置してきた。東南アジア生産対応エリアは今回展でも用意され、ミャンマーやカンボジアだけでなくバングラデシュ生産も含めて26社・30ブースが出展する。
今回は「シューズ・バッグエリア」と「クイックレスポンス対応エリア」を新設し、ニーズに対応する。シューズ・バッグエリアには25社の出展が予定されており、いずれも同展への出展は初。これまではアパレル製品とホーム製品、その生地、副資材に出展者がほぼ限定されていたが、同エリアの設置によって新たな来場者を呼び込むことは間違いなさそう。クイックレスポンス対応エリアには14社が出展する予定。ここでは対日貿易経験が長く、小ロット・短納期対応に秀でた企業が集結する。
前回のAFF・東京には481社が出展し4900人が来場した。今年4月のAFF・大阪には378社が出展し4600人の来場があった。今回はこのいずれをも大きく上回る600社が出展することから、来場者のさらなる増加も期待される。事務局によると出展ブースの総スペースは前回の東京展と同じだが、ブース間を密集させることで600社への拡大を実現した。
チャイナ・プラス・ワンはまだ進むが、日本の商社によると一部で中国回帰の流れも出ている。日本の衣料品市場に元気がなく、売れ筋も読みにくいことからアパレル各社はモノ作りに慎重になる。その際の発注は小口化が顕著になり、引き付け型になるため短納期対応が必須。その受け皿は中国であり、米中貿易摩擦もあって再び対日へと目を向ける中国企業の流れと合致する。それが一部で、東南アジアやバングラデシュから中国への回帰という現象となって表れている。
この点でクイックレスポンス対応エリアを今回展で設けた同展の判断は時宜を得たものと言える。同じように、シューズ・バッグエリアも「衣料品以外の強化拡大」という日本市場の流れに合致するものであり、来場者から注目されそうだ。
展示商品の内訳は以下の通り。
ワイシャツ、Tシャツ、ポロシャツ、ブラウス、ブラジャー、ショーツ、カップ付きキャミソール、マタニティー・シームレス・スポーツ・機能性インナー、パジャマ、ルームウエア、ベビー・キッズウエア、スカート、ワンピース、パンツ、スーツ、ジャケット、コート、圧縮ニット、シワ加工、裏ファー・綿・ダウンウエア、防寒服、カジュアルウエア、布帛・ニットウエア、セーター、カシミヤ、刺しゅう、シルク、デニム、毛皮、ユニフォーム、電動ファン付きウエア、作業服、白衣、患者衣、和服、浴衣、はんてん、スポーツ・アウトドアウエア、ゴルフ・スキー・ヨガ・フィットネスウエア、カンフー服、レオタード、水着、帽子、靴、サンダル、スリッパ、かばん、紙・不織布手袋、ショール、スカーフ、カシミヤ・ウールマフラー、靴下、タイツ、レギンス、糸、レース、機能性生地、ニット生地、裏地、ポリエステル・ナイロン・シルク・フェークシルク・デニム・リネン・綿・麻・リヨセルなど生地、収納袋、衣類カバー、カーテン、バスタオル、タオル、エプロン、枕、毛布、布団、クッション、マットレス、ラグ、布団カバー、シーツ、敷パッド、ホテル・病院用リネン、ボタン、ファスナー、検品・工場評価・製品テストなど。
〈日中経済貿易センター 専務理事 池田 稔 氏/日中貿易活性化の好機〉
AFF展を主催する日中経済貿易センターの池田稔専務理事に、過去最多の出展者となる今回展の見どころを聞いた。
◇
――過去最多の出展者になりました。
そもそもAFFは、誰でもが出展できる展示会ではありません。審査を通過した、ある意味で厳選された出展者が集う展示会です。それでも今回展がこれまでを大きく上回る出展者数となったことは、対日貿易拡大を狙う中国企業がここに来て増えていることを示しているのだと思います。ちなみに出展600社のうち、ほぼ半数の47%が新規出展者です。
――対日に再び脚光が当たっている背景には、米国との貿易摩擦があるのでしょうか。
あると思います。対米が難しくなったために「再び対日を」と考えた中国企業は多いでしょう。人民元安もあり、輸出機運が高まっています。中国企業による熱心な提案が見られるでしょうし、それは日本の企業にもプラスに働くはずです。
――新設エリアも注目されそうですね。
QR対応エリアとシューズ・バッグエリアを新設しました。米国との貿易摩擦という他力が作用しているとはいえ、日中貿易促進の環境は整ったと言えます。今回展を機に日中繊維貿易がますます発展していくことを願います。
〈南通迅誠国際貿易/アパレル修整技術を紹介〉
日本向けアパレル製品の生産と貿易を一貫展開している。2009年に従業員数人の小さな貿易会社としてスタートしたが、その後自社工場を設立し、現在80人規模に成長している。近年の年間輸出額は450万~500万ドル。
17年にアパレル修整部を新設。イタリアや米国の設備を導入し、生地と製品の色堅ろう度や耐光性、ピーリングなどの品質改善を始めた。その後、業界で評判になり、修整技術の他社への提供も始めている。
4回目となる今回展では、製品のアピールとともに、生地とアパレルの修整技術を訴求する。
〈華紡股フン/日本市場の開拓に着手〉
43年の歴史を持つ老舗染色加工メーカーで、上海証券取引所に上場している。紡績から染色加工、ホームテキスタイル、アパレル生産まで手掛ける繊維事業のほか、火力発電や不動産、金融、ITなど幅広い事業を展開している。
繊維のアイテム別年間生産量は、生地4・5億㍍、リング紡績4万錘、コンパクト紡績2・8万錘、寝装寝具2070万セット、アパレル300万着。
年間輸出額は2億ドルで、85%以上が輸出。日本向けはほとんどない。
今回展を機に、日本市場の開拓に乗り出す。中高級ゾーンの顧客に向けて、機能性と着心地の良さを追求した製品をアピールする。
〈江陰市翰博製衣/スポーツ、カジュアルを生産〉
アパレルメーカーで、生産から貿易まで一気通貫で展開。日本向けメインで、スポーツとメンズのカジュアルが得意アイテム。布帛とニット製双方に対応している。
強みは、刺しゅうや副資材も自社で生産していること。これにより、短納期対応力と、コスト競争力を高めている。
ここ数年、日本向けを増やしている。2018年の日本向け輸出額は500万ドルで、全体の8割に達した。
2回目の出展となる今回は、リサイクル素材や発熱機能など各種機能素材を使った製品をアピールする。
〈上海華サン服飾/ジャカードセーターなど訴求〉
アパレル専門の貿易会社。江蘇省を中心とした協力工場8軒で、日本向に特化して生産している。上海と蘇州(江蘇省)、揚州(同)にオフィスを構え、貿易やサービス、生産管理を展開している。
2018年の輸出額は約200万ドル、取扱量は約10万着だった。日本のアパレル市況が低迷する中、小ロット・短納期の強みを生かし、対応アイテムを増やすことで、生産量の維持に努めている。
ここ数年、顧客の注文が小ロット化し、価格要求も高まっている。こうした中、新規顧客の開拓を目指し、今回初出展する。ジャカードセーターと手編みのセーターを目玉商品として打ち出す。
〈上海禄嘉服飾/提案型のニットメーカー〉
高付加価値のセーターを展開。2004年にOEMからスタートし、10年にデザイン部と生地部を立ち上げ、生地のODMを始めた。現在は欧州を中心とした国内外のブランドに向け、最新トレンドを反映した生地と衣類のサンプルを毎シーズン提案している。
生地はジャカード、衣類は高級感のあるセーターが主力。布帛調やニットと布帛製生地を融合したものなどを得意とする。
18年売上高は約260万ドルで、うち日本向けは46万ドルだった。
QRに絶対の自信を持っている。顧客と生産情報を共有しながら、納期も厳守する。
初出展の今回は、ニット製ジャカード生地と手編みニットウエアを訴求する。