トークとーく/伊藤忠ホームファッション社長・原勢芳健氏
2001年11月15日 (木曜日)
伊藤忠ホームファッションの社長に10月23日付で、原勢芳健氏(専務企画開発部長)が就任した。同社は住空間商品、リビング商品を多岐にわたって取り扱う。21世紀に向けて、企業の存在感をいかに高めるかが、業界共通のキーワードとなっている。ファッション衣料や先端商品でも売れにくい時代。不要不急のホームファッションの中にあって、いかに売れる商品づくりをするか、また流通チャネルの深耕や、販路づくり、演出提案に加え、リテイラー作戦を含めた対面販売も不可欠だろう。原勢芳健社長にインタビューした。
――社長就任の抱負をお聞かせ下さい。
原勢 前任の後藤光明社長の経営理念を引き継ぎ、〝強くて、美しい会社づくり〟が目標です。
今、当社がどの分野で求められているのか、ホームファッションのどの分野で存在感があるのかを分析し、強いところは、より強く、より太いパイプづくりをしていく。また、弱い分野は補完が必要なのか、それともスクラップ・アンド・ビルドが有効かを見極める必要があると考えています。
常に利益を生み出せる体質づくりの第1目標として、自己企業の分析や、商品、取引先などの徹底した分析が必要で、「集中と選択」のジャッジを誤らないように気を配っていくつもりです。
――伊藤忠商事時代は「モノ作り」にかかわる業務が多かったような気がしますが…。
原勢 そうですね、私自身は「モノ作り」の業務が多かった。しかし、今回は物品販売という、販売流通の業務です。モノを売るということの難しさを伊藤忠ホームファッションの専務時代に体験し、現在に至っているわけですが、物余り、デフレの時代には、〝物を売るむつかしさ〟は加速するような気がします。
――ホームファッション市場の現状をどう見られていますか。
原勢 最終消費者が、こうした商品を購入する場所の多くは、GMS(量販店)だった。しかし、昨今はカーテンを始めとするホームファッション商品の購入は、実に多岐にわたるようになった。ホームファッションの全体需要は、そんなに大きく落ち込んでいないような気がします。消費者の購入シーンや購入場所の変化の中で、我々が旧態依然の物流ルートに頼っていてよいのかという問題があります。
GMS放れがあるのかどうかは定かでないが、GMSにおけるホームファッションの展開は、縮小の道をたどるでしょうね。それから、一つの均衡がとれる方向に進み、安定へ、というプロセスになると予測しています。縮小し安定までに、どの位の時間がかかるかの予測はむつかしいところです。
――貴社の商品づくりや、新販路づくりについてのお考えは。
原勢 基本的には「モノ作り」のパートナーづくりが大切ですね。パートナーは、日本のみならず東南アジアも含めた、グローバルなパートナーづくりを考えています。ホームファッションの仕入先を、もう少しグローバル化することは大切です。
ただし「安い」ということのみに終始すれば失敗する。売り場、消費者をイメージしてのグローバル仕入れでなければ。日本を始め、東南アジアついても〝価格と価値〟を訴求できる商品やモノ作りを提案する企業と協働化したいですね。
――販路づくりについては、いかがですか。
原勢 当社のGMS比率が高いのは、ご承知の通りです。先ほど申し上げたように、GMSの縮小は避けられないのが実情です。その意味では、新販路づくりは、当社にとって不可欠でもあります。専門店、施工業者、総合雑貨業者など、あるいはハウジングメーカー、ホームセンター等々、ホームファッションを扱う、小売り関係者は多岐にわたっています。これらをどうルートセールによって、市場づくりをしていくかがポイントでもある。
――リテイラー戦略としての対面販売については、いかがでしょうか。
原勢 当社は、アンテナショップとして、(大阪の)泉北と難波に3店があります。アンテナショップからいよいよ脱皮して、川下戦略の一つとして、小売直販店も一つの販路として視野に入れています。ホームファッションやカーテンなどは、対面販売で売ることも必要だと考えています。つまり、対面販売によって消費者の求める商品を探り出すことが可能になる。我々が単にこれなら売れるという発想の商品を押しつけているだけでは駄目です。
当社の川下戦略はそうした意味では、直営小売店とアンテナショップの中間的存在の店づくりがポイントになる。こうした店を構えると、現在の3店では経済単位になりにくい。7店~10店の店を出すことで、一つの単位になると考えています。
近々中に、こうした店を4店ぐらい増やして、7店舗展開にもっていく方針です。もう一つ付け加えるなら、その7店がホームファッション関連でSPA型として機能させることも重要と考えております。
――売り場演出なども含めた企画提案とは、具体的に何を指すのでしょうか。
原勢 商品の企画提案はもちろんのことですが、商品と売り場シーンの構成・演出づくりも、私どもにとっては大切な業務の一つと思っています。単体商品を棚にかざって売るという旧来のスタイルでは「物」は売り難いし、売れない。
インテリア小物、キッチン用品、水回り品など、家庭内で使われる繊維消費財の大部分は女性が購入する。〝女性のライフスタイル〟に合った商品供給や売り場づくり。つまり、ホームファッションのクリエーティブショップづくりも大切で、私どもの川下戦略の一つでもあります。
また、GMSについては現在の商圏を守りつつ、他分野のルートセールスにも力を入れていく方針です。
さらに、コントラクトについても、商圏づくりは可能と考えます。
――グローバル仕入れというお話しですが…。
原勢 中国のWTO加盟によって、中国は仕入れ並びに販売で一層大切な国となる。日本、中国、東南アジアそれぞれが一つの産地です。例えば、愛知県三河産地は当社の仕入れソースの一つのである。総花的に産元と取り組むのでなく、アイテム、流通を見据えた商圏別に各産元の強いところと取り組んでいく方向です。
――最後に、貴社のこれからについてお話し下さい。
原勢 「求められる、ホームファッション専門商社」としての位置付けが明確になるような、ポジションづくり。さらに社員1人ひとりの資質向上を図り、スピードとフットワークに力点を置き、激変するマーケットに素早く対応できる企業づくりですね。
2003年3月期決算において、年商80億円、経常利益1億5千万円を目標値として掲げております。
プロフィール
原勢芳健(はらせ・よしたけ)
70年4月伊藤忠商事入社、化合繊原料部合繊原料課、名古屋支社繊維部短繊維原料課、繊維部門分掌役員付兼企画統括室、繊維開発室を経て93年東海スピナーズに出向(代表取締役に就任)、96年青島藤華紡織有限公司の副総経理、総経理を経て、00年三京株式会社出向(社長付経営室長)、01年7月伊藤忠ホームファッションに出向(専務取締役)、10月23日付で社長に就任。
記者メモ
この会社は伊藤忠リビングと三喜インテリアが合併して生まれた。95年の晩秋、ムトウの故武藤信義氏(当時会長)が加療入院中、伊藤忠リビングの西田溥社長(現ムトウ社長)がムトウに招へいされ、西田氏の後任社長に確か、後藤光明氏が就任されたと記憶している。後藤氏の後任として先月23日付で伊藤忠ホームファッション社長に就かれたのが原勢芳健氏。明朗・活発な方というのが第1印象である。インテリア・ホームファッションの多難な時期に社長に就任されたが、本文にあるように、2003年3月期には、大輪の花が咲くと明言する。専業と違った製造・卸売り業、コンバーターとして売り場を演出、さらには商品提案力、企画力が問われる時代にあって、原勢旋風が起こる可能性は十分にある。(T)




