AFF・東京が開幕/過去最多の612社出展/日本市場のニーズに対応

2019年09月26日 (木曜日)

 日本最大級のアパレルOEM/ODM展示会「AFF・東京2019」(AFF、日中経済貿易センター主催)が25日、3日間の会期で東京・池袋のサンシャインシティ文化会館と、隣接するワールドインポートマートで開幕した。過去最多の612社(702ブース)が出展。日本市場のニーズに応じて今回、「シューズ・バッグエリア」(17社・20ブース)、「クイック・レスポンス(QR)対応エリア」(14社・15ブース)を新設。米中貿易摩擦激化の中で、日本市場に熱い視線を注ぐ。

 日本市場は中国のQR機能を重視する。その一方で、中国企業は持続的発展のために、ASEANなどより人件費の安い地域に生産をシフトしている。会場の東南アジア生産対応エリアにはそうした企業が集まっていた。

 中国・上海に本社のある諸城帝聖紡織品は2016年にエチオピアに縫製工場を開設し、ニット製スポーツウエアを生産する。Tシャツで月産20万枚、従業員千人の規模である。「エチオピアは人手が豊富。人件費も安く、Tシャツは1・65㌦(FOB)で生産できる」と言う。「カンボジアやミャンマーもいずれ関税優遇の対象から外れるが、アフリカは競争力を今後も維持できる」とみる。

 「日本の商社は新しい生産地を求めるが、その一歩を踏み出すのに時間がかかる。しかし、アンケートを取ると、アフリカに興味を持っていた。人権と製造責任を負う国際認証WRAPも取得しており、安心して発注してほしい」と話す。

 初出展の泉州森地客体育用品は欧州向け輸出が中心だったが、日本向けを増やす。サイクリングウエアやフィットネスなどスポーツ衣料が中心。環境や安全、人権などの国際認証ではエコテックススタンダード100、BSCI、グローバルリサイクルスタンダード認証を得る。17年にはバングラデシュに第1工場を開設し、来春には第2工場も竣工(しゅんこう)する予定。「オーダーメードやオンライン向けは50~800枚で対応」と、小ロットにも応じる。

 ハッサン〈ミャンマー〉ガーメンツは、上海に本社(鶴山集団)がある。15年にミャンマーへ進出した。日本向けが9割以上だったが、現在は7割。中国内販や欧州向けを増やし、BSCI認証も取得した。Tシャツで月25万枚生産、需要増で第2工場の建設も視野に入れる。ブースでは再生ポリエステルやオーガニックコットンなどエコ素材も提案と、市場ニーズをつかんでいる。

〈特徴打ち出しニーズ深耕/新設の靴・かばんエリア/QRエリア〉

 「第35回AFF・東京2019」では、「シューズ・バッグエリア」と「クイックレスポンス(QR)対応エリア」が新設された。両エリアの出展者は、対象を絞った展示で新規顧客開拓を目指す。

 シューズ・バッグエリアでは、日本市場のニーズを探る出展が目立った。掲陽市栄藝鞋業は、日本と欧州向けに婦人サンダルを生産する。製品の意匠性を打ち出し、小ロット・短納期の対応もアピールする。

 サンダル全般を手掛ける東莞市蒙迪威鞋業科技は、滑り止めなどの機能性を訴求する。日本向けは全体の3~4割だが半分以上まで引き上げたいと言う。

 QRエリアには、対日貿易経験が長く、既に小ロット・短納期対応を確立した企業が集まった。得意な部分を打ち出し、日本市場の深耕を図る。  生地製造のシャンハイ・パラダイス・バード・テキスタイルは、再生ポリエステルを使ったリサイクル生地を出品した。エコ素材を自社で製造できる体制を強調する。

 南通邦可服装は、南通市の自社工場で婦人服を製造する。10年以上前から日本向けの生産を拡大し、現在は生地からの提案も行う。「きちんと仕事をすれば、円滑な取引が続けられる」と日系企業との関係性を語った。