帝人フロンティア/「リサイクルの百貨店」として環境強化/引き出しの数で貢献

2019年09月27日 (金曜日)

 帝人フロンティアは、環境対応素材の提案をさらに強める。日光信二社長が「当社はリサイクルの百貨店」と語るほど、環境対応素材の“引き出し”は多く、生地換算で全体の30%(数量ベース)を占めている。今後も衣料繊維と産業資材の両面で環境に貢献するとし、2025年度には比率を60~70%に高める。

 リサイクルやバイオ由来原料、海洋プラスチックごみ(マイクロプラスチック)問題への対応など、幅広い視点・観点で環境ビジネスを行ってきた。中でもリサイクルはマテリアルとケミカルの双方を展開し、「当社はリサイクルの百貨店と言え、顧客のさまざまな要望に対応する」と意気込む。

 その一環として商材開発にも積極的に取り組み、最高難度の細繊度の糸や染色性などに優れた糸を作る。技術的な部分は見えているとし、数年後の販売開始を目指す。「リサイクル繊維の開発には各社が力を入れており、これからは付加価値の勝負。蓄積してきた技術を生かす」と強調する。

 バイオ由来原料を使った素材では、ポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」などを販売している。バイオ由来原料の活用で二酸化炭素削減を推し進めるほか、化石燃料の消費抑制にも貢献する。

 国際的な問題となっている海洋プラスチックごみには緩和と適応の両面で考える。緩和策は微細な繊維片が排出されにくい繊維素材の開発と販売であり、新質感スエット生地「デルタフリーモ」などを打ち出す。適応策では、リサイクル活動の推進でマイクロプラスチックの発生を抑える。

 環境対応ビジネスは、衣料分野と自動車関連を含めた産業資材の両方で伸ばす。環境に加えて、安全・防災ソリューションにも重点を置き、総合防災のプラットフォーム「まるごと防災」や建造物の劣化補強に応じる橋梁補強シートなどの訴求を強化する。