「AFF・東京2019」/人数昨年並みも商談活発
2019年09月27日 (金曜日)
東京・池袋のサンシャインシティ文化会館などで2日目(26日)を迎えた「AFF・東京2019」。初日の来場者はほぼ前年並みだが、ブースに入って商談する来場者は多かった。紳士服、婦人服(ニット)、婦人服(布帛)の各エリアの出展企業を紹介する。
〈紳士服/米国向け打撃で日本重視〉
AFFの紳士服エリアには「山東省のスーツ生産ではナンバーワン」という山東雷諾服飾が出展した。山東省泰安市の工場は月産6万着のスーツを生産し、従業員は1500人という。欧米、豪州などが輸出先で、日本向けは5%ほど。「日本市場を開拓したい」と意欲を示す。
同社は糸から製品まで一貫生産。「クールマックス」「ソロテックス」などの機能素材は輸入する。山東省では自社ブランド「レーノ」を50店舗で展開する。
南通章川国際貿易は100%日本向け企業で、出展は5回目。アウターのトップス、パンツを生産する。生産能力は週3千枚で、納期は25日から。「バイヤーからエコ素材の要望はないが、機能性についてのニーズは強い」と語っていた。
紹興春誼現代針織品は初出展。「これまで米国向けが中心で、米中貿易摩擦の影響を受けている。それでも2017年にバングラデシュ工場を開設し、ジャケットで月産5万枚の生産を行う」ことで貿易戦争に対応する。今回は日本市場の開拓が目的。「日本は米国以上に質を求める。発注数量は少ないが、支払いは信用できる」とコメントした。
シ博誠通経貿も初出展。山東省に工場のあるシャツ専門工場で、シャツのほか、オーストラリアやカナダの警察のシャツユニフォームも手掛ける。月産10万枚の生産能力。シャツは生地にシワがよらないタピッドシームという手法が特徴。糸から一貫生産する。欧米のOEMを行ってきただけに、BSCI(ビジネス・ソーシャル・コンプライアンス・イニシアティブ)認証も取得していた。
〈婦人服(布帛)/機能性や生産背景も発信〉
婦人服(布帛)エリアでは、デザイン性に加え、機能性を訴求する展示も目に付いた。
寧波錦源服飾は、100%日本向けにスカートやワンピースなどを製造する。プリーツ加工やレースを得意とし、プリント柄も提案する。後処理の技術を生かし、吸水速乾や花粉対策の機能を備えた製品にも対応すると言う。
煙台徳莱克服飾は、デニムを主力とする。ブースでは、撥水(はっすい)性を持たせたデニム生地のアピールに力を入れる。生地に水を垂らす実演で、来場者の関心を集めた。
生産背景を訴求材料にして新規開拓を図る出展者も多い。
生地製造として創業した紹興市海亜進出口は、5年前に衣料製品に進出した。現在、日本向けには婦人のパンツやスカートなどを製造している。最大の輸出先のメキシコ向けではバングラデシュの縫製工場を活用するが、日本向けは紹興市の生産拠点が担う。
大連迪尚華盛時装は、コート類やボトムを中心に出品した。70%を日本向けが占める同社は、大連の自社工場で幅広い品目の製品を手掛ける。品質重視の方針を打ち出しているが、高まるコスト要求にも応えるため、遼寧省の錦州に縫製工場を開設する。
〈婦人服(ニット)/小ロット低価格要求強まる〉
婦人服(ニット)エリアでは、日本市場に活路を見いだそうとする中国ニット企業がどのような戦略を描いているのか聞いた。
浙江省の嘉興市中桜進出口は、OEM形態の婦人服ニットがメイン。日本向け売上比率は90%と高い。「以前は500枚ほどだったが、最近は80~100枚の小ロット要求が増えている」と話し、製品により江西省や安徽省でも委託生産する。サステイナブル(持続可能な)素材はリサイクルポリエステルを提案する。
寧波奇雨楽〈昇和〉服飾は、6回目の出展だが、社名変更後は初。生産・貿易一体型でヤングレディース製品を主に扱う。「300~500枚の小ロット要望が多い」と、小ロット対応を求められる。納期は1カ月。大ロット低価格品は江西省の工場に外注している。日本向けがほとんどだが、来年は中国内販も進める考え。
上海易欣時装は、日本向けがほとんどで、ニット製品が60%を占めている。米中貿易摩擦は「為替が元安となりむしろ有利に働いている」。バイヤーからの要求は「ロットや価格が厳しい」と、日本市場が生産を絞り込み、より低価格へと動いていることをうかがわせる。上海の景況感は「そう悪くはないが、製造面では環境規制が強まり、新規工場建設が難しく、拡大が図りにくい」と話す。