高まるサステ素材のニーズ「AFF東京展」から(後)/小ロット短納期対応は必須

2019年10月01日 (火曜日)

 新規出展が目立った「第35回AFF・東京2019」だが、対日貿易の経験が既に豊富な出展者にとっては、既存の取引先と関係を強化する貴重な場でもあった。価格、品質、ロット、納期に対する日本向けバイヤーの要求は増すばかり。「サンプルを多く作らなければならない」(出展者)と懸命に要求に応えようとする中国企業の実情が浮かび上がった。

 南通迅誠国際貿易は、婦人の布帛製品全般を扱う。自社の縫製工場を江蘇省南通市に構える。4年前は全体の3割に過ぎなかった小ロットの受注が、現在は8割にまで増えたと言う。短納期の要求にも応えるため、2016年には浙江省に付属品の工場を設け、一貫生産によるリードタイムの短縮を図った。

 南通東洋時装は、婦人のトップスを主力とし、自社で6工場を操業している。生地の手配から製品出荷まで約40日でこなす体制を構築。小ロット化にもいち早く対応してきた。縫製工場の一部でデジタルミシンを導入するなど、生産の効率化も進めている。

 会場では「日本企業からサステイナブル(持続可能な)素材を強く求められるようになった」という声も多く聞かれた。

 依美時尚国際は、機能性素材を使ったインナーやアウターなどの製品を日本向けに輸出している。糸から開発を手掛け、多様な機能性素材を生み出しており、現在はリサイクル素材にも力を入れる。廃ペットボトルに加え、衣料生産で出る裁断くずも再利用している。

 大連万林進出口は、8部署に分かれて対日貿易を展開する。今回展では4小間を合わせたブースを開き、経験を積ませるために案内役として新入社員を送り込むほどの熱の入れようだった。パンツを中心に出品し、リサイクルペットボトルを使ったデニムも披露した。

 同社は「洗い」の工程で水の使用量を最小限に抑えるデニムの製法を確立。サステイナブルなモノ作りにも力を注ぐ。

 「縫製工場に若い人が来ない」と多くの出展者が口にし、ASEANシフトの加速が避けられない現状を露呈したAFF東京展。一方で、多様化するニーズに対応することで、絶えず成長を続ける中国企業の強みも示された。(おわり)