山梨県郡内産地企業/期待高まる米国市場開拓/小物・雑貨類で手応え

2019年10月09日 (水曜日)

 山梨県郡内産地(富士吉田市や西桂町など)の企業が米国市場の開拓に乗り出している。郡内産地では高付加価値生地を欧州ハイブランドに訴求する織布企業の取り組みが目立つが、米国市場では小物・雑貨を中心とする製品で勝負する。山梨県絹人繊織物工業組合会員企業が合同出展したニューヨークの展示会ではかばんやスカーフなどが受注を獲得しており、今後の本格化に期待感を示している。(桃井直人)

 海外販路の開拓では、イタリアで開催されている服地見本市「ミラノ・ウニカ」に富士吉田市や西桂町の織布企業などが継続出展し、服地分野で一定の成果を収めてきた。そうした中、欧州に次ぐ市場として米国に目を向ける企業も増えてきた。ただ、こちらは服地よりも小物や雑貨類が先行しそうだ。

 米国の展示会では、昨年に雑貨・インテリアが集まる「NY NOW(ニューヨーク ナウ)」に数社が出展し、ネクタイなどで商談がまとまった。今年は9月13~15日にニューヨークで開催されたファッション・アパレル雑貨の展示会「D&A(デザイナーズ&エージェンツ)」に合同でブースを構えた。

 参加したのは羽田忠織物、前田源商店、槙田商店、武藤、渡邊織物、Fumi Hotta Designなど。「NY NOWとD&Aは展示会の性格が違い、より感度が高いのがD&A。今回が初出展だったが、手応えを示した企業は少なくなかった」(山梨県絹人繊織物工業組合)ようだ。

 槙田商店は、写真家・中村紋子さんの作品を織りの技術で再現し、バッグに応用した「ジャカード フォトトート」や折り畳み傘など十五、六点を並べた。「意外だったのが傘を手に取る来場者が多かったこと。日本円で1万円と1万3千円の商品を打ち出したが、価格が高いとは言われなかった」と話す。

 袖裏地製造を主力とする渡邊織物は、ブランケットやトートバッグ、クッションカバー、ニードルパンチのタペストリーなどを提案した。製品で展示会に参加するのは今回が初めてとなったが、「トートバッグとタペストリーでセレクトショップへの卸が決まった」。

 デザイン事務所のFumi Hotta Designは、自社ブランドの「Fumi Hotta(フミ ホッタ)」のかばんやシルクスカーフ、生地に開いた穴に頭を通して着物のような使い方ができる商品を紹介した。「大口ではないが、ギャラリーなどからオーダーが入った」と言う。

 展示会場では、羽田忠織物はネクタイやバッグを、武藤はストールを中心に提案するなど、多様な製品が一堂に会したことで注目度も高まったようだ。「サステイナビリティー(持続可能性)の観点から前田源商店のオーガニックコットン製品にも関心が集まった」(山梨県絹人繊織物工業組合)

 今後について槙田商店は「面白い市場になる可能性を感じた」とし、渡邊織物は「チャンスはある」とみる。次回の参加に意欲を示す織布企業も多い。ただ一部では価格が合わない商品があり、語学力がなく商談が難しいという課題も残っている。

 組合には「ニューヨークではなく、ロサンゼルスで開かれるD&Aの方が良い」といった情報も入る。米国市場への本格進出にはもう少し模索が必要になる。