タイナムシリインターテックス/上半期は引き続き堅調/商品高度化でストレッチなど増販

2019年08月27日 (火曜日)

 帝人グループのタイの長繊維織物製造販売・染色加工会社、タイナムシリインターテックスは、2019年度上半期(4月~9月)、昨年と同水準でほぼ計画通りの堅調な販売が続く。設備更新による品質向上を背景にスポーツ衣料用テキスタイルが好調で、ファッション衣料の減速をカバーした(バンコクで泉克典)。

 同社ではこの数年、全織機の広幅化を目指して設備更新が進む。現在、全300台のウオータージェット織機は既に半数を更新し、100台の旧式レピア織機も32台を最新エアジェット織機に転換した。これによりストレッチ織物など高付加価値品の生産能力が高まり、欧米メガスポーツアパレル向けなどの増販体制が整い、好調維持に寄与した。他方、ファッション用途は日本の長引く衣料不況が響き、ここまで順調だったポリトリメチレン・テレフタレート繊維「ソロテックス」に減速感が見られる。

 産業資材用途のカーシート地は堅調で、低調が続く中東民族衣装向けの数量減をカバーした。受注の進捗(しんちょく)日は計画通りだが、染料価格の高騰で利益は圧迫されているため。価格転嫁や品番転換も含めた生産コスト削減などを供給先と協議して進める。

 下半期に向けて、山口尊志社長は「スポーツ、カジュアル分野の増販が鍵」と話す。「ソロテックス」使いや高バランス織・編み物「デルタ」シリーズを軸にスポーツ・ファッション分野へのストレッチ商品の提案をさらに強化する。スポーツ用タフタへの展開のほか、糸軸を変えてファッション用途の開拓も目指す。特に、「アスレジャー化の進展でスポーツと共通のモノ作りで対応しやすい」カジュアル分野を攻略する。

 設備更新は織機・染色機とも随時継続し、能力増強による内製比率向上を目指し「遅れ気味の人材教育に積極的に取り組む」。今年6月まで1年間、現地スタッフの営業・織り・編み・染めの若手幹部候補計6人を日本のグループ企業で研修させ、品質・生産管理の手法を学ばせた。今後も同様の取り組みを続ける。染色や生産管理の指導のため、同社染色工場にグループの南通帝人から中国人スタッフも招く。