東レ 繊維事業本部/インドにサプライチェーン構築/次期中経で縫製拠点から

2019年10月24日 (木曜日)

 東レの繊維事業本部は、アパレルのサプライチェーン(SC)をインドに構築する。2020年度(21年3月期)が初年度の次期中期経営課題で進める戦略に位置付け、子会社と連携して縫製拠点作りから始める。生地はスリランカやASEAN地域からの供給を念頭に置くなど、多様な形を模索している。

 インドは、日本の大手SPAが進出を果たすなど、衣料品消費の拡大が期待されている。大矢光雄専務繊維事業本部長は「インドでアパレル分野のSCを作ることが次の中経で取り組む課題の一つ」と話し、「縫製拠点を設けることが先行する」見通しを示した。

 実際のSCがどのような形になるかは検討段階と言う。現地の協力縫製工場を使ったモノ作りを行うのではなく、ある程度の出資も視野に入れているとし、東レインターナショナルや東麗〈香港〉をはじめとする子会社との連携によって東レグループ自前の縫製拠点を作る。

 生地供給についても多様なオペレーションを模索する。傘下の互太紡織(パシフィック・テキスタイルズ・ホールディングス)はスリランカにニット工場を保有しており、ここを活用することで互太紡織自身の成長につながるとみている。ベトナムなどで生産した生地の活用も図る。

 インドでは、先にエアバッグ用基布と衛材用ポリプロピレンスパンボンド(PPSB)不織布の生産で進出している。エアバッグ用基布について、「自動車産業は世界的にブレーキがかかっている。今年下半期から来期の計画に若干のずれが生じるかもしれないが心配はしていない」と語る。

 インドの次としてアフリカにも目を向け、チュニジアに子会社を持つエアバッグ縫製会社、アルバ スウェーデン(ASE、スウェーデン)の買収を決めた。ASE買収がクロージングすれば自家の拠点ができる。衛材では、日本の日用品メーカーの進出も見られ、「PPSBの供給は輸出で対応するが、現地生産化の可能性はある」と示唆した。