帝人 RFIDシステム/ICタグで病院物流を一括管理/大阪・北野病院が導入

2019年10月25日 (金曜日)

 帝人、小西医療器(大阪市中央区)が開発した医療機関向けのRFID(近距離無線通信を用いた自動認識技術)物流管理(SPD)システム(※)をこのほど、大阪市北区の田附興風会医学研究所北野病院が導入した。3者が同病院で記者会見した。

 近年、医療現場では人手不足が深刻化しており、医療機器や医療材料の運搬・在庫管理に多くの人員、時間を要するため、臨床工学技師や看護師本来の医療業務が圧迫されている。

 帝人はICタグを貼付した管理対象物の入出庫やロケーション情報、使用実績をリアルタイムで読み取れるRFIDシステム「レコピック」「レコファインダー」を展開しており、これまで図書館や病院、物流倉庫などで採用実績を積んできた。

 今回、北野病院が導入したのは医療材料などの管理対象物にICタグを貼付することでSPD事業者の外部倉庫での入出庫から病院への入荷、院内での使用に至る全ての物の流れを一括管理するシステム。

 ICタグの付いた物品カードを「レコファインダー」に投函するだけで、医療材料の使用実績が自動登録され院外倉庫にも情報が流れる仕組みになっているため、人手による発注業務の大幅削減が期待できる。例えば、これまではバーコードの手入力などを二人1組で行っていた棚卸作業を、このシステムならば一人でしかも短時間で終わらせることができる。

 小西医療器によると、既存のバーコード管理に比べ、このシステムを使えば約60%も作業にかかる負荷を削減できるとともに、これまではメーカー、卸、病院がそれぞれで構えていた医療材料の在庫を減らすことができるという。

 北野病院では「まだ研究的な要素が強い。両社との連携で新しい物流管理システムを作る第1歩としたい」(吉村長久病院長)と話している。

※SPDシステム=医療現場の消耗品管理を柔軟かつ円滑に行うための専用物流システム