担当者に聞く ユニフォーム最前線(7)/帝人フロンティア ユニフォーム部長 門脇 秀樹 氏/国内外で生産基盤強化

2019年10月31日 (木曜日)

  ――ユニフォーム市場の現状は。

 2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催された後には大阪万博が控えており、25年までは着実に市場が拡大するといわれてきました。ただ少し潮目が変わってきたという感覚もあります。昨年良好だったワークウエア分野は調整局面が見え、他の分野でも世界経済の減速がじわじわと影響している気がします。

  ――そうした状況下で、2019年度上半期(2019年4~9月期)の業績は。

 ユニフォーム部トータルで言うと、前年同期の売上高を5%程度上回る水準で推移しています。ワークウエア関連で別注を獲得したほか、病院白衣も堅調な動きを見せています。学生服はポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」が評価されました。

 ソロテックスなどの高付加価値素材がけん引役を務めていますが、生産基盤の充実も売り上げ拡大に貢献しています。北陸産地や子会社の帝人フロンティアDG(新潟県見附市)でモノ作りを行っていますが、北陸産地で協力先を増やし、生地の生産キャパシティーは前年上期と比べて25~30%拡大しました。

  ――海外でのモノ作りは。

 タイのタイナムシリインターテックスが拠点です。こちらの生産キャパシティーも拡充しますが、ベトナムのホーチミンでのオペレーションにも取り組みます。ASEAN地域での生地生産を求める声は多く、その対応を図るため、海外での生産も20%程度増やしたいと考えています。

  ――下半期以降の販売戦略は。

 ワークウエア分野の生産調整は継続し、オフィス分野も盛り上がりを欠く状況が続きそうです。事業環境はなかなか好転しないと思いますが、別注や新しいビジネスも獲得できているので当社については上半期と同じような進捗(しんちょく)を見せるのではないでしょうか。通期業績も前年実績を超えられると予想しています。

 素材開発には力を入れます。スポーツ用途で展開している「デルタ」の技術を生かしてニット素材を強化するほか、ストレッチも充実します。デルタのようにユニフォーム以外で販売している素材も活用し、オフィス分野には革新的紡毛調生地「ソロテックス フルフラン」を投入します。

  ――エコロジー対応はどうですか。

 植物由来原料を使った素材やリサイクル糸を打ち出します。エチレングリコールを植物由来原料に置き換えた素材では「プラントペット」があります。これまでは自動車関連がメインでしたが、ユニフォームでも積極提案します。