A+A2019/“ユニーク”が成長の原動力/素材、戦略の違い明確に
2019年11月07日 (木曜日)
世界最大の労働安全分野の見本市「A+A2019 国際労働安全機材・技術展」(メッセ・デュッセルドルフ主催)が5日、ドイツのデュッセルドルフで始まった。欧州市場で成長著しいユニフォームメーカー各社の戦略の共通項は「ユニーク」。素材、戦略の違いを明確にしながら市場での存在感を高める。
(デュッセルドルフ=於保佑輔)
デンマークのニット製品専業のユニフォームメーカー、クリッパーコーポレートは、裏綿ならぬ“裏ウール”の上質感のあるポロシャツを投入した。日本のメーカーにない素材の使い方が面白い。同社の売上高は1000万ユーロとまだ大きくはないが、ベント・ノルスコフ取締役は「毎年15%の増収を計画している」と強気の姿勢を見せる。
「市場は二極化している。価格が安い商品を大量に供給するか、価格が問われないユニークなものを求めるニーズを捉えるか」(ノルスコフ取締役)。欧州も日本と同様に多品種小ロット化が進み、オリジナルのユニフォームを求める動きが強まってきた。「ユニークなものこそ、自分たちの一番のメッセージになる」。その考えは成長軌道に乗るメーカーの共通の思想といえる。
特に素材で独自色を出そうとする動きがA+A2019で目立つ。ドイツのキューブラーは素材からの開発を強化。ポリエステル綿混でも“魚の骨”のような質感のオリジナル生地を使ったワークウエア「ボディーフォース」シリーズを打ち出した。
車をイメージした洗練されたデザインも新鮮。2013年に2700万ユーロだった売上高は、18年に4100万ユーロまで拡大。マーケティングトップのダニエル・パッシュ氏は、素材のこだわりに加え「仕事後もそのまま着用できる、カジュアルの要素を取り込んできた」ことも成長の要因に挙げる。
ベルギーのダッシーは、「D―フレックス」ラインをワークウエアで4月から投入し「動きやすさが支持されている」(常務のステファン・ヴァン・エンデ氏)。膝などの補強材にはストレッチ性のない素材が使われることが多いが、あらゆる部位にストレッチ素材を使い、動きやすさを徹底的に追求した。同社もこの5年で売上高が2800万ユーロから4500万ユーロへと拡大。「スリランカにある自社工場が要」と安定供給も強みにする。
2017年、米国のアパレル・フットウエアメーカー大手のVFコーポレーションの傘下となったディッキーズは、欧州が今年熱波に見舞われたことを受け、ポリエステル綿混の特殊素材「テンプ―iQ」を採用したTシャツを商品化。汗と体温の上昇で冷却効果をもたらす仕組みとなる。
欧州でのディッキーズの販売は今年1~6月、前年同期比6%増と堅調。フランスならカジュアルテイスト、ドイツならユーロテイストといった「地域に沿ったマーケティングが奏功している」(ウィリアムソン・ディック〈欧州〉取締役のジェームス・ウィテカー氏)と他社にない細部にわたる販売戦略がブランドの成長を後押しする。
VFグループでは新たにディッキーズの一格上の価格帯で展開する「ティンバーランド・プロ」のワークウエアもA+A2019で初披露。フットウエアブランドからワークウエアを新たに打ち出すユニークな展開で、グループ全体の底上げも図る。




