A+A2019/機能プラスアルファ訴求/日本の素材メーカー

2019年11月08日 (金曜日)

 【デュッセルドルフ=富永周也、中西俊行】「A+A2019 国際労働安全機材・技術展」に出展する日本の素材メーカーは高機能にプラスアルファの付加価値を提案するなどで、多くの来場者を引き付けた。

 ブースを拡大して臨んだカネカは難燃作業服分野へモダクリル繊維「プロテックス」を紹介した。難燃性や放電に対する耐性、高視認性素材といった切り口に加え、今回展では快適性も新たに訴求。旭化成のキュプラ繊維「ベンベルグ」使いやスパンデックス「ロイカ」を使った素材を初めて披露した。

 ユニチカトレーディングは機能性とともに環境への配慮を訴求する。環境配慮型ポリエステル素材であることを示す「エコフレンドリー」マークのシリーズで持続撥水(はっすい)素材の「タクティーム」などをそろえた。マイクロプラスチック問題に対応するため、起毛なしでも起毛素材と同等の保温性を実現した「エアーホールド―NB」も紹介し、「来場者の関心も高い」と好感触を得ている。

 ユニチカトレーディングと共同でブースを構えたユニチカスパークライトは工業洗濯75回に耐える反射材やこれまで難しかった黒やネービーで輝度を高めた反射材を訴求する。

 帝人はメタ系アラミド繊維「コーネックス」、パラ系アラミド繊維「トワロン」「テクノーラ」など消防服、防護服向け素材を前面に押す。最大の特徴である耐切創、耐熱性といった人体を守る高い機能性とともに、タイの生産力も訴求する。

 東レはブースを二分し、一方で環境負荷低減素材、もう一方で化学防護服向けの「リブモア」を展示した。環境負荷低減素材は、エコテックスの「STeP認証」を取得しているペンファブリック(マレーシア)の技術力、部分植物由来ポリエステル繊維「エコディアPET」、さらに水や洗剤を減らせる防汚加工「テクノクリーン」などを紹介。環境保全意識が高い欧州向けにアピールした。

 リブモアは作業時の安全性の確保や快適性をうたう。前回展では参考出展だったが、欧州連合(EU)基準に適合したことを示すCEマーク表示が可能となったため、販売促進を進める。

 東洋紡は引き続き、耐切創手袋用途に高強力ポリエチレン「ツヌーガ」を訴求した。需要の拡大などを背景に同分野への販売は好調。今回展ではさらに、東洋紡STCが扱うガラス繊維も紹介し、グループで同分野を深耕する。

〈出展は過去最高の2119社に〉

 メッセ・デュッセルドルフは、ドイツで5~8日に開催中の「A+A2019」の出展企業・団体が全体で2119社になったことを発表した。前回の2017年に開かれた「A+A2017」は1942社で、今回初めて2千社を超え過去最高となった。展示面積も1ホール増やしたことで前回から約8千平方メートル広い、7万8428平方メートルだった。

 国別の出展者数ではドイツが最も多く569社(前回578社)、次いで中国が419社(同365社)、イタリアが116社(同107社)、フランスが90社(同83社)、英国が81社(同83社)、オランダが61社(同56社)。

 日本は前回より1社増え、田村駒や作業用靴下メーカーのヤマツネ(名古屋市中村区)など初出展を含め19社が参加。東レやYKK、ブラザー工業など海外法人が出展しているケースを含めると28社となった。