紡績4~9月期決算/繊維の低迷一段と深刻/ダイワボウ、富士紡は黒字確保

2019年11月12日 (火曜日)

 大手綿紡績の2019年4~9月期連結決算は、全社ベースで4社が減益となるなど世界経済や国内景気の成長鈍化の影響が鮮明になってきた。特に繊維事業は4社が営業損失となるなど低迷が一段と深刻になっている。

 全社ベースで減収や減益の決算が相次ぐ中、気を吐いているのがダイワボウホールディングス(HD)。主力のITインフラ流通事業がパソコンの旺盛な更新需要から好調で第2四半期決算としては過去最高の業績となった。富士紡HDも研磨材事業がけん引し、増収増益だった。繊維事業も両社は減収減益ながら利益を確保するなど持ちこたえた。

 ダイワボウHDの繊維事業は、合繊・レーヨン部門がコスメ用不織布や不織布用レーヨンの販売低迷で苦戦したが、産業資材部門は広告や土木資材分野の販売が拡大した。衣料製品部門も海外拠点の活用した企画や子供服が順調だった。

 富士紡HDの繊維事業は、主力のインナー製品が百貨店や量販店の売り場縮小の影響で販売減少もネット通販な新規チャネルの拡大を進めた。糸・生地も低採算商品の撤退を進めるなど事業構造の改革に取り組んでいる。

 一方、4社は繊維事業が営業損失となるなど業績の低迷が深刻化している。クラボウは原糸が増益となり、ユニフォームも前期並みで推移したが、カジュアル分野が苦戦した。カジュアル不振が生産拠点であるタイなどの海外子会社の低迷にもつながり、バーツ高による輸出不振もあって営業損失が拡大した。

 シキボウはユニフォームが前年度好調の反動もあって苦戦し、ニット製品も取引先の販売不振などで苦戦し、営業損失も拡大した。ただ、中東民族衣装用織物輸出は市況が回復傾向となり、原糸も海外生産品の販売が拡大するなど明るい兆しも見えてきた。

 日東紡も芯地製造販売の中国子会社の持分を譲渡したことで減収だったが、芯地の国内生産移管によって採算は改善傾向となり営業損失が縮小するなど今後の黒字浮上に向けて道筋が見えつつある。

 オーミケンシは、主力のレーヨン販売で原燃料高の販売価格への転嫁が十分でなく営業損失を拡大した。今後は採算重視の姿勢で臨むなど販売戦略を抜本的に見直す。