クラレ クラリーノ事業/エコで3素材開発/新ブランドで打ち出す

2019年11月18日 (月曜日)

 クラレは人工皮革クラリーノ事業で、環境配慮型のエコ素材をこのほど完成させた。有機溶剤を使用しない「クラリーノ―TN」、再生ポリエステルによる「同―SR」、再生ナイロンによる「同―NR」をラインアップ。2020年度(20年12月期)からの本格販売を計画し、靴やバッグ、IT機器などへのアプローチに取り組んでいる。

 クラレは欧州連合(EU)域のユーザーなどから環境配慮型の商材を要望する声が強まっていることに対応し、この間、サステイナビリティー(持続可能性)を意識した素材開発に力を入れてきた。

 有機溶剤を使用せずに環境に優しい製法で生産する「ティレニーナ」を既に販売してきたが、ここに来てニーズが高まっているというリサイクル素材もラインアップし、ユーザーからの要望に応えていくことにした。

 再生原料使いの開発に伴い、エコ素材として新たにブランディング。ティレニーナを同TNに改称した。ユーザーからの要望が強い基布を再生ポリエステルで商品化した溶剤タイプの販売を先行させ、ニーズが高まってきた段階で無溶剤タイプも導入する。スエードタイプを靴やIT機器向けに売り込んでいく。

 SRでは、ペットボトル再生ポリエステル「クララペット」100%で基布を商品化した銀付き(本革調)溶剤タイプから導入する。インテリア関係で既に採用が決まっている。

 国内外から調達する再生ナイロン短繊維でNRを商品化。銀付き溶剤タイプで用途、客先開拓に取り組んでいる。

 銀付きの造面加工を無溶剤で生産する技術も確立しており、再生ポリエステルや再生ナイロン使いの商材を早急にラインアップし、新ブランドで打ち出していく。

 クラレは、これらエコ素材の市場浸透、自動車関連用途への参入、海外拠点の拡大を中期的な課題に位置付ける。エコ素材では当面、重点顧客への個別対応を強化し拡販を計画。生産・販売が落ち着いた段階で幅広くアピールする。

 カーシートなどをターゲットとするスエードを既に完成させ、20年度でのスペックインを経て21年度からの本格販売を目指している。

 海外では中国で年産1500万平方メートルの合弁企業ヘーシンHDを展開しており、早ければ年内に1200万平方メートルの増設に着手し、20年後半に量産をスタートさせる。