特集 清潔・衛生と繊維製品(4)/検査機関/対象、用途広げて拡大

2019年11月27日 (水曜日)

 清潔・衛生加工は抗菌防臭加工から始まった。その後、対象や用途を広げてきた。検査機関の現在をみる。

〈細菌から防虫まで対応/カケン〉

 カケンテストセンター(カケン)は、細菌・ウイルスから蚊・ダニなど昆虫・節足動物まで幅広い生物試験を実施している。防蚊性試験は試験方法の開発でも大きな役割を担い、7月からは防ダニ加工試験もスタートした。

 カケンが実施する生物試験の中でも、抗菌防臭性試験は安定した受注が続いている。大阪事業所(大阪市西区)のほか中国子会社の上海科懇検験服務でも試験を実施でき、最近では海外からの受注も増加が続く。

 注目度が高いのが防蚊性試験。2018年12月に防蚊性試験が日本産業規格(JIS)化されたが、JISに規定された誘引吸血装置法と強制接触法のうち、前者はカケンが開発した。このため実際の試験もいち早く開始している。スポーツやアウトドア分野で引き合いが徐々に出てきた。防蚊性試験方法の国際標準規格(ISO)化も進められていることから、今後の普及に期待を寄せる。

 既にISO化されている防ダニ性試験も7月から開始した。ISI化された試験方法には従来の忌避性と増殖抑制の試験だけでなく生地の通過性に関する試験も追加され、試験規格にも対応している。こうした新規の機能性試験の普及に力を入れる。

〈基礎研究から対応進める/QTEC〉

 日本繊維製品品質試験センター(QTEC)は神戸試験センターで、抗菌、抗かび、抗ウイルス、消臭性など清潔・衛生分野の試験業務を行う。射本康夫所長は「清潔・衛生分野への関心は高い。洗剤や除菌スプレーなど生活の日用雑貨商品分野でも増えている」と言うが、「それだけに消費者にその違いを分かりやすく説明する啓発活動も今後必要では」と話す。

 プラスチックなどの抗菌製品技術協議会が「抗ウイルス加工SIAAマーク」認証を開始した。同センターは指定検査機関として試験を実施する。「試験の依頼は多い。加工が雑貨品関係に広がることで、ウイルス対策が衛生、快適へと敷居が下がっていく感じだ」

 QTECは微生物試験を行いながら、企業の研究開発も支援する。そのため、試験方法の基礎研究を進め、学会や論文発表にも積極的。「企業の研究開発を支援するには、相手と対等の議論ができる水準まで個々の能力アップが必要。菌やウイルスのどこを攻撃したのか。対象の死に方を可視化する研究も行っている」と語る。

 そうした地道な活動が「薬剤の使い方や量の提案にもつながる。繊維から非繊維までワンストップで対応」している。