サステイナビリティーへの課題/長く複雑なSC、コスト面も/消費者の“想像力”進むか

2019年12月03日 (火曜日)

 商社の20秋冬展示会は引き続きサステイナブル(持続可能な)素材を軸にした提案が多い。大手アパレルの20春夏展ではサステイナブル素材の採用が進んでいた。テキスタイル輸出商談会でもサステイナブル素材は不可欠の存在。世はまさに“サステ時代”の感はあるが、国内ビジネスは期待ほどの盛り上がりを欠く。なぜか――。(鈴木康弘)

 日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC)は6日、都内でCSR委員会の「CSRセミナー」を開く。JAFICは6月の総会で「JAFIC CSR憲章」を発表した。外国人技能実習生法令違反問題を含め、委託加工先、部材調達先を含めたサプライチェーン上において「安全」「環境保護」「人権と労働環境」といった社会的責任が求められているからだ。

 今回のセミナーではこのほど作成したCSR工場監査130項目を発表。これをもとに第三者監査、第二者監査(オーダーする側の監査)を行うのが望ましいものの、書面監査用2シートも作成した。

 個別に見ても、レナウンは9月に「レナウングループCSR憲章」を制定。人権や環境、公正な取引、地域社会など、七つの項目に取り組む。三陽商会は10月、サステイナブル経営を推進するためのサステイナブルアクションプラン「アース・トゥ・ウエア」を発表した。SDGs(持続可能な開発目標)目標12「つくる責任、つかう責任」を念頭に「地球を、愛する」「服を、愛する」の2カテゴリーで推進している。

 サステイナブルの対応は大手アパレル中心の関心事かといえば、そうでもない。「朝早いセミナーで来場を心配したが、2日間とも150人席が満席となった」(ボーケン品質評価機構)。テーマは「アパレル業界のサステイナブル活動」だった。日本繊維製品品質技術センターもサステイナビリティー関連のセミナーを開き、好評だった。中小アパレルでも意識は高まってきている。

 しかし、11月に開催された20秋冬向け「プレミアム・テキスタイル・ジャパン」の会場では、「価格とサステイナブルを比較すると、まだ価格へのニーズが強い」(生地メーカー)状況にある。サステイナブル素材は海外向けでは必須条件でも、国内はまだ価格優先である。

 このギャップは何か。衣料消費不振の中で、新しい商材としてサステイナブル素材に関心を持つ一方、マーケットはコスト問題が根強いことがある。実際にサステイナブル素材を扱っても、どこまでトレーサビリティー(追跡可能性)が及ぶのか。繊維のサプライチェーンは複雑で長いことが、厳密なサステイナブル対応を行う上でネックにもなっている。

 消費者にも日本商品の“安全・安心”神話が刷り込まれている。1枚のTシャツがどこの国の工場で、どんな労働者が作っているかを想像する人は少ない。

 消費者のサステイナブル意識の変化を待つか、啓発の意味で先行してサステイナブルに着手するか。産業の中で、環境負荷が2番目に高いアパレル・ファッション業界ということからすれば、自ずと答えは出ている。