商社繊維事業のいま 2019年4~9月期決算から(3)/分野、取引先によって明暗

2019年12月04日 (水曜日)

〈世界経済の減速懸念で力強さ欠く/東レインターナショナル〉

 東レインターナショナルの2019年4~9月期単体決算は、売上高3060億円(8・6%減)、営業利益62億円(10・4%減)、経常利益85億円(1・8%増)、純利益72億円(1・5%減)で、本業のもうけを示す営業利益が2桁%減となった。世界経済の減速懸念などから力強さを欠いた。

 衣料素材は、ファイバーが国内市況の低迷で低調に推移。テキスタイルは婦人用途が低調だったが、スポーツ用途や資材用途は堅調に推移し、インテリア分野も底堅い動きを見せた。しかしながら全体の売上高は10・5%減の334億円となった。

 繊維資材・物資の売上高は18・5%増の277億円。産業資材の自動車用途、フィルター用途は伸び悩んだ。羊毛取引は市況の低迷と相場下落の影響を受けたが、綿花や皮革関連は堅調な推移を見せた。

 アパレルは、スポーツとアウトドア分野向けは堅調だったものの、カジュアル分野向けは顧客の販売不振による受注減の影響を受けた。この結果、同事業の売上高は907億円で、10・1%減を余儀なくされた。

 形態別売上高は、三国間が1040億円で141%増、輸出が978億円で4・9%減、輸入が581億円で53・2%減、国内が459億円で28・7%減だった。

〈スポーツ・寝装苦戦し減益に/ユニチカトレーディング〉

 ユニチカトレーディングの4~9月期決算は売上高191億円(前年同期比2%減)、営業利益2億円(50%減)、経常利益2億円(60%減)、純利益1億円(66・6%減)の減収大幅減益となった。

 主力のユニフォームはワーキングを中心に堅調だったものの、スポーツ素材や寝装向けの販売が低調だった。髙機能糸の輸出でも苦戦を強いられた。デニムの輸出では前年並みを確保した。

 グループ企業の大阪染工は昨年上半期、染料などの高騰で赤字計上を余儀なくされたものの、当上半期で収支トントンまで改善している。

 下半期以降は環境に配慮した素材群、同社の強みを生かした素材群による拡販を計画するとともに、海外拠点を駆使した製品OEMを伸ばす。

 同社はケミカルリサイクルによる再生ポリエステル「エコフレンドリー」の販促に取り組んでいる。ユニチカグループとして展開する生分解性素材、バイオ由来の樹脂なども含めて「全社でベクトルを合わせる必要がある」としており、来年度からの次期中計でこれら環境に配慮した商材をトータルで打ち出す販売戦略を検討している。