特集 環境白書(4)/有力繊維企業/環境対応で人と社会に貢献

2019年12月04日 (水曜日)

〈帝人フロンティア/「エコペット」の展開領域拡大〉

 帝人フロンティアは、ペットボトルリサイクルポリエステル繊維「エコペット」の展開領域を広げている。細繊度糸や異型断面糸など糸のバリエーションが増え、ドレープ性や触感などの感性面の訴求も可能になった。婦人や紳士をはじめとするファッション用途への浸透を図る考え。

 マテリアルリサイクル技術によるポリエステル繊維のエコペットは、1995年に販売を開始。短繊維での展開を主体としてきたが、2014年に長繊維の生産を始めた。現在では細繊度糸や中空糸、異型断面糸を作ることができ、ドレープ性に富んだ風合いの付与や触感に変化を持たせられる。

 これまではアウトドアウエアやスポーツウエア、ユニフォーム用途での展開が先行していたが、感性面の訴求で婦人や紳士用途でも使いやすくなった。環境対応が不可欠な海外のファッションブランドでの採用が増加傾向にあるほか、「国内顧客の目も向き始めている」と言う。

 エコペットをはじめとする環境対応素材は生地商社による備蓄販売も始まっている。「生地商社との連携が深まり、これまでフォローできていなかった顧客にも生地を提供することができるようになった」と強調する。

〈ユニチカトレーディング/環境対応を成長戦略に〉

 ユニチカトレーディングは、環境配慮型ポリエステル素材の冠ブランド「エコフレンドリー」を軸にした成長戦略を進める。工場廃材を活用したリサイクルポリエステルの製造・販売を始めているが、石油由来品と同等の風合いや色味が好評。リサイクルポリエステルで差別化糸を作り、訴求力をさらに高める。

 エコフレンドリーは、使用済みのペットボトルや繊維生産工程で発生する廃材を回収、マテリアル・ケミカルリサイクル技術を駆使して再生したポリエステル素材の総称。0・5デシテックス以下のマイクロファイバーや異型断面糸の生産技術を確立し、年間20~30トンの規模で商業生産を開始した。

 レディス営業部は、エコフレンドリーをけん引役に事業拡大を狙う方針で、20春夏物で販売を開始した。バイメタル構造ハイブリッドヤーンを用いた高反発性快適生地「ペオス」などにリサイクルポリエステルを用いているが、従来品と同レベルの風合いや色味が再現できているのが強み。

 エコフレンドリー以外では、ポリ乳酸繊維「テラマック」の可能性を探る。現在は資材用途が主体だが、ファッション分野などでの活用も模索する。

〈東洋紡STC/「エコールクラブ・バイオ」新開発〉

 東洋紡STCはユニフォーム向けを中心に1年間でペットボトルフレーク800トン(500ミリリットルのPETボトル換算で3200万本分)をペットボトル再生ポリエステル「エコールクラブ」の生産に充てている。

 19秋冬からエコールクラブ混もラインアップするユニフォーム向けのストレッチファブリック「オールフレックス」を投入。フルダル高捲縮(けんしゅく)糸がもたらす適度な伸縮性、防透け性、工業洗濯が可能な耐久性が特徴で、この間、ワークウエアや食品白衣、病院白衣向けの販促を強化してきた。

 エコ素材を充実させる一環として、このほどバイオ由来の原料で生産するポリエステル「エコールクラブ・バイオ」、生分解性素材「ダース」を新たに開発。東西で開催する東洋紡グループ繊維総合展でお披露目しており、サステイナビリティー(持続可能性)への関心を強めるユーザーに売り込んでいく。

 海外メーカーから調達する原糸でエコールクラブ・バイオを商品化。ポリエステル長繊維によるテキスタイルの販売から立ち上げる。ダースは東洋紡本体の生分解性原料を繊維化した新素材。海外メーカーへのOEMで長短繊維の量産を検討している。

〈日東紡インターライニング/サステ対応の芯地を拡充〉

 日東紡インターライニングは、サステイナビリティー(持続可能性)に対応する芯地を拡充している。リサイクルポリエステルやフッ素フリーなどを中心に幅広い商品をラインアップし、環境負荷低減に貢献する。国内での提案に加え、環境意識が高い欧州市場への販売を強める。

 環境負荷低減に対応する芯地は、リサイクルポリエステル使い、フッ素フリー、ノンホルマリン、原着糸使いを中心とするほか、軽量や低温接着可能芯地などがそろう。中でもリサイクルやフッ素フリーの引き合いが強いほか、裏地・芯地兼用商品も注目される。

 裏地・芯地兼用の「イノベーティブファブリック(IF)」は、19秋冬で採用され、今後の展開に期待する。裏地と芯地、プラスアルファの特性を持つ多機能素材であり、より少ない資材・工程で製品を仕立てられる。現状で約40グラムの目付(1平方メートル当たり)を20グラム程度に軽量化し、使い勝手を高める。

 海外のアウトドアメーカーなどは環境負荷低減に対応する副資材を求め始めており、積極訴求する。アウトドアとスポーツ向けは米国や韓国、台湾の企業などに狙いを定め、ファッション向けは欧州での拡販を狙う。

〈ダイワボウノイ/加工技術の革新進める〉

 ダイワボウノイは1980年代からオーガニックコットンの活用やケミカルフリーの染色加工を実用化するなど環境負荷に配慮したモノ作りに取り組んできた。この流れを受け現在、商品の機能化だけでなく、生産・加工プロセスの革新も含めた環境負荷低減に取り組む「エコロジー・サステイナブル・プロジェクト」を推進している。

 同社は染色加工や機能加工で安全性の国際的認証である「エコテックス規格」を全面的に導入している。加工剤の安全性には特に注意を払っており、抗ウイルス加工「クリアフレッシュV」の加工剤を従来の有機化合物系からより安全性の高い無機系に変更するなど改良を進めた。そのほかの加工剤も天然由来原料を使用したものを採用し、食品での使用に準じる安全性基準を導入するなど加工技術の革新を進める。

 また、カセイソーダフリーの染色加工プロセスの開発にも成功している。使用済み溶液の廃棄に際して中和工程が不要となるため環境負荷を抑えることができる。機能加工の開発に加えて加工プロセスの革新などを通じてSDGs (持続可能な開発目標)に対応する取り組みに力を入れる。

〈第一紡績/フェアトレードで課題と向き合う〉

 第一紡績(熊本県荒尾市)はフェアトレードで調達するセネガル綿を活用した糸・製品開発に取り組み、国内初のフェアトレード繊維製品製造認証を取得した。紡績から編み立て、染色加工、縫製まで一貫の設備を持つメーカーとしてサステイナビリティー(持続可能性)とトレーサビリティー(追跡可能性)のあるモノ作りで環境、人権など社会的課題と向き合うことに取り組む。

 国際フェアトレード認証のセネガル綿を使った綿糸「フェアトレードコットン」と、Tシャツや靴下などの製品「エシウエア」を商品化した。フェアトレードコットンはタオル製造販売のホットマン(東京都青梅市)にタオル用の糸で採用された。17年に製品ブランドとして立ち上げたエシウエアは“エシカル(倫理的な)”を身に着けるがコンセプト。自社デザインのほかに地元デザイナーとのコラボレーションにも取り組む。

 そのほか加工工程で発生する廃棄生地の一部を編みひもにした「にじいと」、紡績工程で発生する落ち綿を活用した「ふっくらさん」を手芸用として販売するなどリサイクル・アップサイクルの取り組みも進めている。手芸用商品は本社工場が立地する地域で定期的に無料配布も行い、地域と環境を重視したモノ作りを進めている。

〈クラボウ/原料から製造工程まで環境対応〉

 クラボウは1993年から繊維事業の基本理念として「ヒューマン・フレンドリー発想(人と地球の健やかな環境を考える)」を掲げている。この理念を改めて打ち出し、原料や商品開発から製造プロセスまで環境負荷低減のための取り組みを積極的に進める。

 その一つが縫製工程で発生する裁断くずを繊維原料に再利用するプロジェクト「ループラス」。これまでアパレル数社と連携してニット製品やパンツで取り組みを進めているが、加えてこのほどエドウインとも連携。エドウインの国内縫製工場から出る裁断くずをクラボウがデニムに再生し、それをエドウインが再びジーンズに活用する取り組みが始まる。

 羽毛代替の生体模倣素材「エアーフレイク」の原料を再生ポリエステルに切り替えることや、色落ちしないデニム「アクアティック」を加工工程での水使用量削減につながる商品として提案するなど環境配慮素材のラインアップを拡充した。

 染色加工の徳島工場(徳島県阿南市)を環境配慮型工場へと高度化する設備投資も進めている。リサイクル原料使用の透明性を証明する国際認証「リサイクル表示基準(RCS)」の取得も検討する。

〈オーミケンシ/生産プロセス革新を推進〉

 オーミケンシはレーヨンの生産プロセス革新に取り組み、レーヨン短繊維ブランド「ホープ」を通常のレーヨンとは異なる環境配慮素材として認知させることを目指す。

 レーヨンは製造工程の環境負荷が高いとの指摘も多い。同社は森林資源の適正利用を認証する「森林認証(FSC)」を取得。加古川工場(兵庫県加古川市)は廃水基準が日本でも最も厳しい瀬戸内海の基準が適用されており、燃料も廃棄物固形燃料(RDF)の使用率が50%に達した。製造時に使用する二硫化炭素も回収している。こうした環境負荷を抑えた製造プロセスで生産されるホープを一般的なレーヨンとは異なるブランドとして打ち出す。

 セルロースナノファイバーの活用でバリア性を高めたレーヨンの開発にも取り組み、フィルム・樹脂代替需要を狙う。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構とイオン液体法によるタイヤコード用高強力セルロース繊維の開発にも取り組み、この成果の衣料用途への応用も目指している。

 古紙など廃棄物をレーヨンに再生するノウハウを持つのも同社の強み。循環型経済に参画することを目指しており、既に大手飲料メーカーや衛材メーカーからの引き合いがある。こうした技術の確立にも取り組む。

〈ヤギ/オーガニックコットン広げる〉

 ヤギはエシカル指針「ヤギシカル」を設定して環境配慮活動を推進、持続可能な社会作りに貢献する。その一環として今年4月から、「PBP(ピース・バイ・ピース・コットン)ヤーン・プロジェクト」を立ち上げた。

 2008年、通販大手のフェリシモがPBPを開始。オーガニックコットン製品を基金付きで販売し、その基金をインドの農場支援などに当てるもので、17年にはフェリシモがPBP財団を設立。同コットンの糸・生地販売に力を入れていたヤギも参画した。これまでの総基金額は1億2千万円を超えている。

 今年4月、「もっと効率的にPBPを広めたい」としてヤギがPBPヤーン・プロジェクトを立ち上げた。世界最大のオーガニックコットンサプライヤーである印・ナハール社と連携するもので、ヤギが販売する同糸に基金を付け、それをPBP財団に還元して普及に役立てる。

 有償の下げ札も作成したが、かなりの好評を得ているという。

 ヤギの狙いは将来的に、「ヤギのオーガニックコットンならば買いたい」という消費者やアパレルが増えること。PBPの活動以外にもさまざまなエシカル事業を進めており、今後もヤギシカルを進化、深化させ、社会に貢献する。

〈豊島/桜が100年後も咲き続けるために〉

 豊島は2005年から、オーガニックコットンの普及を通じて社会に貢献するプロジェクト「オーガビッツ」を展開する。100を超えるブランドの賛同を得て多くのアイテムが生み出され、その売り上げの一部がインドのオーガニックコットン農家の支援に活用される。

 オーガビッツの活動は多岐にわたり、東日本大震災に伴って発生した津波の被災地に桜を植樹する「さくら並木プロジェクト」の支援でも成果を上げてきた。9月までに、45のアパレルブランドが支援商品を作り、その収益によって249本の桜が植えられた。

 さくら並木プロジェクトに関連して、オーガビッツはJリーグ・ベガルタ仙台のオフィシャルグッズに採用された。17年からは、ベガルタの主催試合で「オーガビッツマッチデー」と冠したPR企画を実施している。当日は試合会場に、植樹が行われた福島県の子供たちとその家族を特別招待し、試合開始前にはオーガビッツ特製Tシャツを着用した子供たちが、選手と手をつないでピッチに入場する。

 今後は、植樹された桜が順調に成長するための手入れ作業まで、支援の範囲を広げる。「100年がたっても、津波の避難誘導の目印にする」という目標の達成を目指す。

〈レンチンググループ/「ヴェオセル」で新認証〉

 レンチンググループは、特殊不織布原料の「ヴェオセル」で認証制度を新たに導入している。規定の配合率をクリアすることに加え、全ての材料が生分解するセルロース繊維でできている製品だけにヴェオセルの表示を可能とした。エココンシャスなブランドとして消費者からの信用を高めるのが狙いで、2019年7月から始めている。

 ヴェオセルブランドの環境への優しさは、大きく「植物由来原料の使用」「クリーンで安全な生産」「生分解性」の三つが上げられる。再生可能な原料である木材から作られ、環境に配慮したプロセスで製造される。安全かつ迅速に分解されるため、廃棄後に自然に返る。

 新認証制度の導入は、フェーシャルシートマスクや拭き取りシート、流せる尻拭きシートをはじめとする製品を購入する際に、その製品が持続可能なものであるかどうかが判別しやすくなる。信頼できるラベルとして繊維原料ブランドの確立を目指す。

 レンチンググループは環境への対応を加速しており、17年と比べて二酸化炭素(CO2)排出量を30年までに50%削減するほか、50年までにCO2ニュートラルを挙げている。

〈大正紡績/価値観をユーザーと共有〉

 大正紡績(大阪市阪南市)は、オーガニック綿や未利用綿(落ち綿)などを活用した糸開発でサステイナビリティー(持続可能性)とトレーサビリティー(追跡可能性)を追求したモノ作りを推進してきた。こうした取り組みを通じてアパレルやデザイナー、産地企業と価値観を共有するところに強みがある。

 同社は現在、オーガニック綿の調達ソースの拡充を進めている。米国の契約農家2軒に加え、インドの農家からオーガニック「スビン」を調達する。さらに南米・ペルー、アフリカのウガンダ、タンザニアからの調達にも取り組む。こうした国々では綿花栽培は重要産業。安定した調達によって現地農家の雇用確保など経済発展に貢献することを目指している。

 廃棄物の再利用にも取り組む。例えば未利用綿使い「ラフィ」は根強い人気を得てきた。加えて現在、反毛を活用した開発も進める。こうした取り組みの価値観を糸の販売先である産地企業、さらにはアパレルやデザイナーとも共有し、普及させることを重視する。

 国内産地の活性化や次世代育成のために綿花栽培に取り組む試みが各地で行われている。これにもジニングや紡績を通じて積極的に協力することで産地の活性化に貢献することを目指す。

〈ダイワボウレーヨン/注目の海洋生分解性レーヨン〉

 ダイワボウレーヨンは、海洋生分解性を確認したレーヨン短繊維「エコロナ」を海洋プラスチック問題にも対応した繊維原料として打ち出す。そのため海洋プラスチック問題の解決を目指す企業団体「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)」にも加入した。

 エコロナへの注目は高く、紡績や不織布用途で試作が始まった。特に紡績向けで引き合いが多い。加えて同社のレーヨンは森林資源の適正利用を認証する「森林認証(FSC)」、染色加工などの安全性に関する国際規格「エコテックス規格100」、米国農務省が再生可能資源から作られた製品を認証する「バイオベース製品認証」、食品接触の安全性認証「ISEGA」などを積極的に取得していることも高い評価につながっている。

 一方、レーヨンは製造工程の環境負荷が高いとの指摘もある。これに対して同社は、例えば製造時に使用する二硫化炭素も全て回収し、化学処理によって硫化水素ナトリウムにして副生物として販売している。そのほか各種薬剤を回収・再利用し、硫化ナトリウム(芒硝)など副生物を販売するなど、高度な環境設備を保有する。こうした取り組みもアピールすることで環境素材としてのレーヨンの存在感を高める。

〈JUKI/消費電力を低減するミシン〉

 JUKIは2日、“縫い”の調整機能をデジタル化した業務用ミシン「セミドライヘッド2本針本縫針送りソーイングシステム LH―4500Cシリーズ」を発売した。縫いの品質向上と段取り時間の短縮に加え、JUKI専用アプリと連動させることで生産管理も可能にした。待機時は約50%、稼働中は約30%も消費電力を低減するため、環境に優しい。

 同機は、2本の針を同時に稼働させて平行縫いを行い、主に飾り縫いに使用される。新製品は「ジーンズ・厚物仕様」と「ファンデーション仕様」の2種類をそろえた。

 ジーンズ・厚物仕様は、ポケット付けの角縫いの際、事前に針の幅や縫いの角度の情報をパネルに入力することで、内側と外側の縫い目を自動制御する。オペレーターは角部で生地を回転させるだけで端正な平行縫いができる。段部検知装置を装備したため、段部でも縫い目の長さを均一にする。角縫い付き73万円、角縫いなし61万1千円。

 ファンデーション仕様は、大釜の使用を可能にした。下糸の巻量を80%増加したことにより、下糸の交換の頻度を大幅に削減し、段取り作業時間を短縮するため、オペレーターの負担を軽減する。53万5千円。

〈帝国繊維/希少性高いヘンプも訴求〉

 帝国繊維は、世界各地の麻の歴史や特徴、生産者の思いを軸にしたブランディングの中で、トレーサビリティー(追跡可能性)をはじめ、天然繊維原料の中でも成長が早く農薬や肥料の使用量が極端に少ない、外皮まで無駄なく使えるなど麻本来の特性を改めて訴求し、サステイナビリティー(持続可能性)の要望に応える。

 異素材複合でプラスαの機能性を追求する「アルケミックリネン」ブランドでは、再生ポリエステルとの混紡・交織なども進める。

 麻の市場全体がカジュアル化・リーズナブル化する中、帝国繊維はブランディングによって、差別化を求めるアパレルやセレクトショップなどのモノ作りをサポート。今期(2019年12月期)の販売も堅調に推移する。麻の持続可能性に再度光を当てることで拡販に弾みをつける。

 リネン、ラミーに続き、21春夏向けからヘンプのプロモーションを本格化させる。現状はロープや袋類など資材用途が大半だが、世界的なヘンプ栽培国である中国で研究開発が進み、リネンのようにしなやかで光沢のある生地(写真)ができ衣料用でも注目される。既に採用を決めた客先もあり、希少性を切り口に本格展開していく。

〈日本羽毛製造/こだわりの羽毛リサイクル〉

 布団製造の日本羽毛製造(埼玉県入間市)は、2007年から羽毛のリサイクルに取り組んできた。早野賢治社長は「最初から順調だったわけではない」と口にするが、衣料用途を中心に引き合いが増えてきた。自家工場でダウンパックにして販売するほか、自社製品にも活用する。

 「欧州ではリサイクルが当たり前。日本も同じようになると思った」――早野社長は羽毛リサイクルを始めた理由をそう説明する。当初は新毛とリサイクル毛の価格差が1キロ当たりで約100円。需要がなく、リサイクルのために回収した羽毛布団は「最高で1万5千枚たまった」と振り返る。

 潮目が変わったのが13、14年のころだった。新毛の価格が上昇したことでリサイクル羽毛のニーズが出てきた。以来、少しずつではあるが着実に売り上げを伸ばしている。現在は環境対応が重要視されるようになり、衣料用途で「使いたい」という声が増えてきた。

 ダウンパックで販売するが、パックの生地に使う糸や縫製糸のリサイクルポリエステルへの切り替えも検討する。価格が上昇するため、自社製品でこだわりのモノ作りを行いたいとするほか、アパレルメーカーなどとの連携を深める。