ユニチカ 不織布事業/海外販売比率50%へ/差別化SBを中心に

2019年12月05日 (木曜日)

 ユニチカの不織布事業部は海外販売を拡大する。2020年度からスタートする新中期経営計画の最終年度にはスパンボンド不織布(SB)、スパンレース不織布(SL)含め海外販売比率50%を目指す。

 ポリエステルSBでは複合SB「エルベス」はじめ「差別化SBを中心に北米や中国などアジアだけでなく、その他市場も開拓する」(吉村哲也上席執行役員不織布事業部長)方針で臨む。

 同社のポリエステルSBは早くから輸出を手掛けてきた。輸出とタイ子会社のタイ・ユニチカ・スパンボンド(タスコ)を含めた海外販売比率(数量ベース)は既に40%強を占める。現在、日本からの輸出は約20%。タスコは一部日本への持ち帰りを除き海外販売となる。海外販売の約70%強が北米と中国などのアジアが占め、カーペット・カーマット一次基布や工業資材用を主体に拡大。自動車向けではカーマット一次基布だけでなく、各種内装材や吸音材など向けと広がりを見せる。

 海外販売の拡大に向けては「汎用品は韓国、中国勢との競合もあるため違いを訴えられる」差別化SBに重点を置く。

 芯ポリエステル・鞘ポリエチレンから成るエルベスだけでなく、異型断面SB「ディラ」、無機系機能性微粒子を担持させることで、抗ウイルスなど六つの機能性を持つ「ユニダイヤ」などの提案を強化する。さらに、軽量化によるCO2削減を狙った、熱成型SB「マリックスAX」にも期待する。

 市場では北米やアジアに加え、欧州も開拓する。「それぞれが3分の1を占めることを目指す。欧州は代理店経由となるが、その補強も行う」と言う。欧州だけでなく「世界には市場はまだまだある」として、中央アジア、東欧、南米、中東、インドなどの新規市場の開拓にも取り組む。

 綿100%スパンレース不織布「コットエース」も全販売量の2桁%を占めるまで海外販売が増えてきた。フェースマスクや制汗シート、衛生材料などスキンケア分野にターゲットを絞り込み、綿100%による肌触りの良さや環境対応型である点を訴求してきた効果が表れた。