テキスタイル輸出/欧米向けは“踊り場”/国内の悪さ背景に機運高まる

2019年12月06日 (金曜日)

 産地企業や生地商社によるテキスタイル輸出は、“踊り場”の様相を強めている。2月に発効した日本・欧州連合(EU)経済連携協定(EPA)の追い風はありながらも、直近の輸出実績で「伸びた」という声はほとんどない。日本と同じく欧州、米国がともにアパレル不況を迎えており、その影響が出ているもようだ。特に欧州ブランドはサステイナビリティー(持続可能性)の観点から「作り過ぎない」方向にかじを切っており、生地発注を抑制する動きも強まっている。とはいえ、少子高齢化する日本国内向けだけでは成長戦略を描けない。輸出拡大を志す各社の現状を追った。(吉田武史)

 「輸出商況は芳しくない」(ショーワ)、「今秋から急減」(齋栄織物)、「数年間伸ばしてきたが、昨年あたりから苦戦中」(伊藤忠商事)など、これまで順調に生地輸出を拡大してきた日本企業の多くが“踊り場”に差し掛かっている。

 背景として指摘されるのが、欧米ファッション市況の低迷。数年間続いていたリピートが今年になって途絶えたケースや、取引ブランドそのものが消滅したケースもあるし、注文ロットの小口化がある。デザインハウス風のように「1万3千㍍の発注があったが、特殊な機械のため結局納期までには1300㍍しか納められなかった」といった機会損失も発生している。オンリーワンや差別化を追求するほど量産が難しくなり、供給が追い付かないというジレンマがある。

 欧米市況が振るわないのは事実のようだが、日本企業の輸出拡大志向はこれまでにも増して強まっている。国内ファッション市場の低迷が続いているからだ。このほど大阪市内で開かれた日本貿易振興機構(ジェトロ)の「欧米向けテキスタイル輸出展示商談会」には、輸出経験がほとんどない、あるいは全くない企業の参加が目立った。

 織物製造卸の遠孫織布は来年2月の「ミラノ・ウニカ(MU)」への初出展を決め、その前哨戦として今回の商談会を位置付けた。直接輸出の実績はまだないが、将来の国内市場縮小を見据えてその可能性を探る。糸商社の増井は近年、生地販売事業をスタート。輸出拡大も狙っており、さまざまな展示会に出展している。

 加工場の山陽染工も「直接輸出を狙う」として今年2月のMU初出展に続き、今回の商談会に参加した。帆布製造卸のタケヤリは直接輸出の拡大を3年前から志向し、生機備蓄や加工のバリエーションをそろえて徐々に実績を積んでいる。

 共通するのは「国内向けだけでは先がない」という危機感と、「商社に頼り切った間接輸出では安定しないし、利益も取れない」という問題意識。ただし、人員や提案手法、展示会の選別など克服課題も山積している。直接か間接か、どの展示会が有効なのか、備蓄するのかしないのか、納期は、価格設定は――。悩みは尽きないながら、輸出拡大を志向する企業が今後も増えていくことだけは間違いなさそうだ。