播州織産地/織布で“自販”強まる/生産の在り方は転換期
2019年12月10日 (火曜日)
播州織産地の織布企業が、展示会などに出展して顧客を見つけ、独自の生地や製品を提案したり、主体的に顧客に働きかけて企画を受注したりする“自販”の動きを強めている。これまでの同産地の産元商社を軸にした分業体制は転換期を迎えている。
背景にあるのは、生産地の海外移転による産地の規模縮小と店頭の売れ行き不振。こうした環境で、これまで織布企業が主力としてきた、産元商社からの受注が大幅に減り、自ら客を見つけ、受注を得なければ事業継続が危ぶまれる状況にある。
近年、順調に新たな売り先を開拓しているのがコンドウファクトリー(兵庫県多可町)。アパレルやギフト向けの展示会に出展し、成果につなげている。今年4月に大手アパレルのハンカチの織布を受注した。同じ客向けでトートバックや乳児のためのスタイキットも手掛け、受注量は拡大傾向にある。
細田義昭織布(同)は昨年秋に自社ホームページを作り、今年からアピールを強めている。10月初旬、多可町商工会の支援を受けて「ファッションワールド東京」の併催展「国際生地・素材エキスポ」に初出展し、2本の経糸ビームで刺しゅうのような立体的なパターン柄を出すドビー織りをアピールした。
細田社長は展示会の手応えを「当社の生地の用途は相手次第でまだまだ広がると実感できた」と語り「年に数点でも独自の生地を企画し、レディース衣料や子供服へ提案したい」と話す。
海外市場に新天地を求める企業もある。遠孫織布(兵庫県西脇市)は来年2月、欧州最大規模の服地見本市「ミラノ・ウニカ」への出展を決めた。主力のレディース衣料用途のジャカード織物や、デザイン性だけでなく環境にも配慮した服地など30~50点をアピールする。
播州織産地は、1950年代中ごろから90年代初めにかけて、世界中へ綿先染め織物を大量に輸出してきた。その過程では営業・生産管理を行う産元商社を軸に、糸染め、サイジング、製織、加工など生産工程を細かく分業する体制が確立した。
しかし、生産地の海外シフトと、衣料品市場の低迷で産地の規模縮小は止まらず、これまで織布や染色を専門にしてきた企業が、自ら生地や製品を作って売りに出るケースが相次ぐ。




