特集 スクールスポーツ(2)/スクールスポーツ事業トップインタビュー/20年入学商戦の動向

2019年12月16日 (月曜日)

〈菅公学生服 開発本部提案企画部長 田北 浩之 氏/「カンコープレミアム」成果実る/支持を得る商品作りを〉

  ――2019年7月期のスポーツ部門の売上高が100億円を超えました。

 数年前から目標に掲げ、ついに達成できました。各地での営業が実った結果だと思います。一部のスポーツ専業メーカーの事業縮小を受け、活発化していたシェア拡大に向けた競争は今春には落ち着きましたが、この間の営業努力が芽を吹いたと思います。取引先から支持を得る商品作りが合致したことも大きいですね。

  ――来入学商戦に向けた動きは。

 自社ブランドの販売に力を入れています。「カンコープレミアム」は17年の展示会で発表して以降、認知度が上がり、販売が本格化しています。累計採用校数は100校が見えてきました。大手素材メーカーと共同開発した素材「グランガード」を使用していて、防風性や耐久性、軽さなどの機能と、シンプルかつスタイリッシュなデザインが評価されています。

 プレミアムの効果で、以前から強みを持っている中学校の採用が堅調です。従来はあまり獲得できていなかった高校の採用も増えてきました。これまで別注対応が多かった中で、プレミアムでは定番の採用率が高い傾向も続いています。

 スポーツブランドに負けない機能とデザインを今後も訴求し、メインの商品として拡販します。

  ――昨年の展示会で小中学校向け「カンコーノームコア」を発表しましたね。

 今後も、認知度向上に努めたいと思っています。テーマが“究極の普通”ですから、長く採用してもらえるような、シンプルなモノ作りを続けます。上下別のアイテムや素材の組み合わせも検討していて、それぞれの学校らしさが表現できる商品にしていきたいと思います。

  ――その他、多様な商材を取り扱っています。

 「カンコー×ファイテン」も3マークの新デザインを投入し、安定的に採用を獲得しています。また、プレミアムでは防透け性が高く、軽さと薄さを兼ね備えた素材「ミエンヌエアー」使いの半袖と長袖のTシャツを発表しました。幅広いラインアップで拡販を目指します。

  ――ライセンスブランドの状況は。

 「リーボック」は販売スタートから20年が経ちました。現在も採用校の獲得は堅調ですが、一つの節目を迎え、自社ブランドとともにより力を入れていきたいと思います。

〈ミライフォーラム/教育・社会の課題解決を〉

 菅公学生服は11、12月、三大都市圏を中心に「ミライフォーラム2020ソーシャルソリューションクロス」を開いた。スクールスポーツでカンコーブランドなどの新作を披露したほか、学校教育や社会課題の解決に向けた教育ソリューション事業を紹介した。

《カンコーブランド軸に/更新した機能性など訴求》

 17年のカンコーブランド90周年の節目に発表した中高校向け「カンコープレミアム」は、一番人気の80シリーズに新型3ラインを追加し、ニーズを受けて前後で学年色が分かるデザインを取り入れた。展示では、従来品と比較して2分の1の軽さ(1平方メートル当たり175グラム)や衣服内の保温力(室温20℃、湿度50%、風速毎秒2メートルの環境下で従来品より0・8℃高い27・3度を保持)をアピール。金ブラシによる生地の耐久性の確認など実験のコーナーも設けた。

 小中学校向け「カンコーノームコア」は、普遍的なデザインと多彩な素材のバリエーションを訴求。マークを後付けできる2次加工マーキングシステムによって、「スタイル」「素材」「オリジナルマーク」3ステップの指定で発注できる利便性をパネルで紹介した。

《教育ソリューションも強化/生徒の自立を支援》

 自社の専門機関のカンコー学生工学研究所から、未来を見据えた学校教育と社会課題の解決に関する研究結果も展示。学生の制服に対する志向などの調査結果や、自発的な課題解決型の学習支援など取り組みを紹介した。

 能動的な生徒を育成する活動「部活のチカラ」も継続している。昨年3月に策定されたスポーツ庁のガイドラインにのっとり、部活を人間形成の場、キャリア教育の場と捉え、社会的自立への支援についてパネル展示した。

 その他、全国の販社を通じた職場体験「スポーツモノづくり教室」も紹介。

 SDGs(持続可能な開発目標)を軸に置き、生徒の自立に向けて非認知能力(コミュニケーション能力や共感性など数値化が難しい力)や意欲の向上を目指している。