繊維ニュース

特集 スクールスポーツ(3)/スクールスポーツ事業トップインタビュー

2019年12月16日 (月曜日)

〈明石スクールユニフォームカンパニー/営業本部 スクールスポーツ部長 前田 健太郎 氏/商品企画に磨きを/「アスリッシュ」拡販へ〉

  ――来入学商戦に向けての商況は。

 生徒数減少の影響が色濃くなってきていますが、採用校の獲得は計画通りに進んでいます。中でもライセンスブランド「デサント」の採用が引き続き堅調です。新規採用校は来入学商戦も100校に達する見通しで、累計は1900校が見えてきました。有名スポーツブランドとしての価値が確立され、スタイリッシュなデザイン性や機能性も評価されていますね。

 2004年の販売スタートから15年が経過して一つの節目を超えましたので、さらなる認知度の向上に向け、新たな仕掛けを検討していきます。

 2020年東京五輪・パラリンピックの開催が近づいていますが、デサントでは開催年にちなんで累計採用2020校の達成を目指していきます。

  ――生産体制はいかがでしょうか。

 一昨年末に宇部テクノパークアソートセンター(山口県宇部市)で2次加工施設を拡張しましたが、その後も安定的な生産と供給を確保しています。

  ――販売を本格化させている自社ブランド「アスリッシュ」の取り組みは。

 今後も、拡販に向けて着実に認知度を上げていきたいと思います。体操服に加えて課外活動などの校外着としても着用できる点や、カジュアル、レギュラー、アスレチックの3ラインによるラインアップ、軽量で保温性が高いダンボールニットによる機能性や着心地などを訴求していきたいと思っています。

 学校側からは、機能性の面や学年色のラインアップの充実といったニーズを抽出していて、商品企画に磨きをかけていきます。

  ――防災先進企業としての活動をお願いします。

 視認性が高いオレンジ水着の拡販を続けています。併せて、SDGs(持続可能な開発目標)の17の目標のうち3番の「全ての人に健康と福祉を」、14番の「海の豊かさを守ろう」を考慮し、学校のプールで防災意識の向上に向けた授業を実施しています。こうした努力でオレンジ水着の採用が岡山県を中心に増えていて、県内では今年30校に採用されました。

 今後は、小学校を中心に防災関連の教材や非常食も販売していきます。

〈トンボ/営業統括本部 スポーツMD本部長 河本 光正 氏/昇華転写が新規の6割/「ビクトリー」採用に貢献〉

  ――来入学商戦に向けた動きは。

 ライセンスブランドの「ヨネックス」、自社ブランドの「ビクトリー」とも、新規採用校の獲得数は昨年とほぼ同じ水準でそれぞれ約100校となっています。ヨネックスは昇華転写プリントによるグラデーションなど多彩なデザインが評価され、累計の採用校数は1100校に近づいています。

  ――昇華転写プリントによる商品の採用が増えています。

 今年も昇華転写プリントが拡販に大きく貢献しました。新規採用のうち6割を占めています。ビクトリーでは軽さと防風性に優れた素材「ピステックス」を使い、好評を得ているウオームアップウエア「ピストレ」を取り扱っていますが、昇華転写プリントとの組み合わせによる企画の採用が増加しています。

  ――来年の取り組みはいかがでしょうか。

 ピステックスで新たに軽量性と吸汗速乾性能が高い新素材「ピステックス・ドライ」を使用し、新商品を発表する予定です。昇華転写プリントを活用しデザイン面の打ち出しを強めます。令和にちなんだ和柄や、2020年の東京五輪・パラリンピックに関するデザインも考えています。

 スポーツブランドであるヨネックスと自社ブランドであるビクトリーの間で機能やイメージを明確に差別化し、柄をアレンジしながら相互に流用するなど2ブランドを有効に活用していきます。

  ――設備の増強は。

 昇華転写プリントについては、美咲工場(岡山県美咲町)に専用プリンターと自動裁断機(CAM)を置いていますが、近年の採用拡大で来年は15%程度の生産能力の増強が必要になりそうです。CAMの導入も検討していきます。

 縫製では、昨年6月に稼働を始めたトンボ倉吉工房スポーツ館(鳥取県倉吉市)で初年度に計画していた年間4万点の生産量を超えました。スポーツ部門の自社生産比率が20%となるなど、順調な生産能力の確保につながっています。来年は現状の3ラインを4ラインに増設し、さらに生産能力を強化します。

  ――19年6月期は売上高が48億5千万円と前期比で6・4%増加しました。

 上半期は前期並みのペースでしたが、足元は下半期に向けて需要が伸びています。今期は50億円の達成に向け、しっかりと取り組みます。

〈ユニチカメイト/社長 清水 義博 氏/21年で「プーマ」200校超めざす/機能性など商品力を追求〉

  ――2020年3月期の業績見通しはいかがですか。

 前期の売上高が17億円だったのですが、18億円を少し超えて着地する見込みです。主力の学校体操服はほぼ横ばいの推移ですが、ユニフォームOEMが伸びました。しかし、物流経費を筆頭に生地代、縫製工賃などあらゆるコストが上昇しています。効率的な生産、輸送効率を上げるための工夫など自助努力も推進しましたが、減益は免れません。

  ――地域別ではどのような傾向が。

 当社の主要販売地域である関西は、全体的にモデルチェンジ校が少なく、それに伴って新規獲得も例年に比べて少なめでした。首都圏は逆に、定番商品も別注も好調です。

  ――「プーマ」ブランドの動きはいかがですか。

 新規校獲得のためのブランドという位置付けで導入しましたが、順調に浸透していっていると感じています。累計採用校数は20年入学商戦で計画通りの150校超になる見込みです。学校や生徒のブランド志向はまだまだ根強く追い風です。21年入学商戦では200校超えを目指します。

  ――21年入学向けの新商品も投入しました。

 プーマで価格レンジ別の3型を、自社ブランドの「ユームーブ」で3型を投入しましたが、防風や防汚、吸汗速乾といった機能性がキーワードになっています。22年入学商戦での投入を予定していたのですが、前倒しした格好です。

  ――プーマで三つの価格レンジを設けたのはなぜでしょうか。

 プーマは日本でも言わずと知れた有名ブランドですが、価格も安くはありません。主なターゲットは私学になってくるのですが、実は公立からの引き合いもかなり多い。三つのレンジを設けるのはそのためです。

  ――来期の重点方針を。

 商品力の向上が基本路線です。ユニチカのグループ総合力を発揮して、イージーケアといったさまざまな機能性をうたっていく。今回発表した新型もこうした基本路線にのっとったものです。今回は合繊使いがメインでしたが、サステイナビリティー(持続可能性)も意識して天然繊維使いの商品開発も強化します。商品力を発揮して少子化の中でもシェアアップを狙う。これが基本戦略です。

〈児島/副社長 山本 真大 氏/新しいテーマは“フリーダム”/1校当たりの販売額向上へ〉

  ――2019年12月期のスクールスポーツ部門の見通しは。

 今期のスポーツを含むスクール部門全体の売上高は、前期比でほぼ横ばいを見込んでいます。生徒数の減少は大きく響きましたが、採用校数の増加が支えました。今後はさらに少子化が進んで生徒数が減ると思います。今まで以上に採用校を獲得しなければなりません。

  ――7月の展示会の反響をお願いします。

 この3年間は“安心・安全・愛”をモットーに取り組みました。来入学商戦に向けては、精神的・身体的・社会的に良好な状態を示す“ウェルビーイング”をテーマとし、高視認性や着心地、防汚加工などの視点で商品を開発し展示しました。

 取引先からは「(方向性や商品企画などが)面白い」「デザインがおしゃれ」などの声がありましたが、価格が見合わないケースもありました。改めて、さまざまなコスト削減や生産効率化が課題として見えてきました。

  ――来期の施策を教えてください。

 採用校数の拡大と、1校当たりの販売額を上げる企画を考えます。来年の全体でのテーマを“フリーダム”とし、スクールスポーツでも自社の体操服ブランド「コロンバイン」で商品を開発します。

 フリーダムとは危険や動きにくさから“自由になる”という意味を込めていて、安全や着心地など幅広い面でニーズに応える商品を打ち出します。生産するアイテムなど、具体的な方向性はこれから詰めますが、家庭洗濯への対応などはもちろん、付属品・2次加工による装飾性の向上に取り組みたいと思っています。

  ――その他、新規事業はいかがでしょうか。

 クライミングウエアなどのスポーツ関連商材で販路を開拓します。16年ごろから自社オンラインショップを開設し、売り先はクライミングジムに限定しています。約70店から引き合いがあります。企画は私ともう1人、実務は別の2人が担当していますが、IT技術を活用し、受注・在庫確認・発送までを簡便なシステムで省力化に努めています。

 その他、ウレタン素材を使用した体育館のマットなど学校関連商材も自社で縫製しています。軽さや防水性などをアピールし、新たな用途を提案していきます。

〈ミズノ/コンペティションスポーツ事業部 第1事業企画販促部マルチトレーニング課 黒田 祐二郎 氏/来シーズンから自信作投入/私立の共学校を攻略〉

  ――2018年の入学商戦ではどう着地しましたか。

 スクールスポーツでは例年、12月から6月の販売実績で業績を判断します。当社の場合、前シーズンはほぼ前年並みでした。少子化で若年層の人口が減っているわけですから、マーケットも縮小均衡にあるんでしょう。しかし、皆が皆、苦戦しているわけではありません。生徒数の増えている学校が存在する以上、スクールスポーツは重要市場の位置付けです。

  ――最近のトレンドに何か変化は。

 ネービーが主流になって10年前後が経過しました。ここにきて増えそうなのがベースに白を使うケースです。学校から白を基調とするシャツに替えてほしいと要望されたのは初めてです。防汚加工の技術が進歩し白が浮上、あるいは近隣校と違う色にしたいニーズが強まっていることが背景にあるのでしょう。

  ――来シーズンのイチ押し企画は。

 2017年に販売し採用が相次いだ企画をリニューアルした新企画を打ち出しています。吸汗速乾素材を使い、縫製する箇所を減らすことでコストダウンも実現。デザインと価格とをバランスさせた当社にしては低価格の自信作です。ヒットの可能性を秘めていると私自身は思っています。

  ――日常の営業活動で心掛けていることは。

 公的機関のホームページから学校関係の情報を集めています。各支社からは地元紙に掲載された学校に関する情報が集まってきます。今年はある男子校が来年4月から共学化されるに伴い、男子の制服が詰め襟からブレザーに替わるという情報が入ってきました。体操服の更新も検討中とのことでした。カタログをお見せしてリクエストのあった中から数アイテムを先方にお持ちしました。

  ――少子化に歯止めはかかりそうもありません。

 それでも唯一、生徒数の伸びている私立の共学校が当社のターゲットです。大学と連携協定を結んでいたり、スポーツ市場で幅広く取り組んでいる当社の強み、ブランド力を生かせると思います。学校の先生方が望むのは、生徒がよりよく成長して社会に貢献してくれることでしょう。当社はスポーツウエアでお手伝いしたい、スポーツをもっと好きになってもらいたいと思いながら日々の営業に取り組んでいます。

〈ギャレックス/スクール営業グループ マネージャー 田中 誠一郎 氏/「スポルディング」拡大に期待/生産面の課題にも取り組む〉

  ――2019年6月期決算を振り返ってください。

 売上高は前期比微増収の47億円でした。19年入学商戦自体は約300の新規校を獲得できました。同業他社の事業縮小が主な背景とはいえ、300校というのは近年最高です。全体的に健闘できた年だったと総括しています。

  ――各ブランドの販売推移は。

 「フィラ」は累計で1270校になりました。元々若い人たちに人気のあるブランドですし、学校体育衣料でも女子高生に人気がありますね。「スポルディング」の累計は90校です。共に順調に拡大していると言っていいと思います。

 11年導入のスポルディングは比較的新しいライセンスで、当社の主要販売先の一つである大阪での採用が進んでいましたが、他の地域では弱かった。19年入学では他府県でも採用が進みましたので、今後の拡大に期待を持っています。さらに、日本人の八村塁選手が米国のプロバスケットリーグ(NBA)で活躍していることも好材料と捉えています。スポルディングは元々バスケットのブランドですし、NBAの公式ボールはスポルディングですので、ブランドへの注目が高まるかもしれません。

  ――20年入学商戦の進展はいかがですか。

 売り上げは前年比横ばいから微増になると見ています。新規校は200に届くかどうかというところです。

  ――主力の「ギャレックス」は。

 拡大方針を掲げていますが、総じて順調です。アンケートでは特に素材とデザインが好評を博しており、カラフル杢(もく)使いや防風編み地の独自素材ブランド「ウィンドバスター」がその理由に挙がっています。21年入学商戦ではこれらとはまた違った切り口の素材を投入する計画です。

  ――国内外に自社工場をお持ちです。生産面の課題は。

 19年入学向けでは、生産の効率化が進みました。例年1~4月は休日出勤や残業ありきの生産体制になるのですが、今年は早めの仕掛かりを意識して采配したところ、大幅に残業を減らすことができました。生産時期の平準化に主体的に取り組み、一定の成果が出せました。ただ、在庫はその分少し増えてしまったので、この改善が来年以降の課題になります。