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寝具寝装/海外販売に伸び代/19年堅調な企業も

2019年12月20日 (金曜日)

 有力寝具・布団地製造卸の2019年の海外販売が前年実績を上回っている。国内のモノ作りを生かしながら中国をはじめとしたアジアや米国への販売を押し進めており、今後の収益の柱の一つに据える。

(長尾 昇)

 寝具製造卸の中で積極的に海外へ打って出ている企業が西川。海外直営店は30店前後で、代理店を通した卸業も幅広く手掛ける。展開している国・地域は台湾、韓国、中国、タイ、シンガポール、マレーシアなどに広がり、19年の海外販売額は前年実績を上回っている。

 直営店は、同社のブランド「エアー」を主に扱う「エアーショップ」などの形で、シンガポールの高島屋のほか、伊勢丹、東急ハンズへ出店している。中でも「シンガポール エアーショップ」の販売額が前年比23%増と堅調。高品質な日本製や丁寧なコンサルティングが強みになっている。

 さらにタイ・バンコクの販売拠点がローカルマーケティングによる販促効果で大きく伸びているほか、中国は百貨店での販売が横ばいながら、ネット通販(EC)が前年比2倍になっている。

 アイテム別ではマットレス、枕、冷感寝具が売れ筋となっている。

 今後の方針には(1)中国ビジネスの強化(2)北米ビジネスへのトライ(3)B2Bビジネスの強化―を挙げる。中国では、現地法人上海西川を軸とした内販ビジネスの拡大を図り、ECビジネスの強化や介護ビジネスも視野に入れる。北米では、20年1月にラスベガスで開催される電子機器の見本市「CES」へ出展し、先端技術で睡眠の質を改善する「スリープテック」をテーマにアピールする。同展を皮切りに西海岸をターゲットとした北米市場への進出準備を加速する。

 B2Bビジネスは日本国内で培ってきた知見、産官学連携で確立したエビデンスをベースとした品質を武器に運輸や病院、レジデンス、医療・介護分野に切り込む。

 布団地製造卸では、丸ホームテキスタイル(大阪市中央区)の19年4月~11月の海外販売額が前年同期比2桁%の増収だった。中国の寝具メーカーなどへ国内で染色加工した高級羽毛布団用“側(中わたを入れる前の半製品)”地を販売する。特に風合いの良い「テンセル」リヨセル、「テンセル」モダール使いが売れている。同社のリヨセル・モダール使いの羽毛布団側地「アクロテンダー」は、レンチングが18年に行ったコンテスト「レンチングイノベーションアワード2018」のホーム部門でトップの金賞を受賞しており、指名買いもあるという。

 蔭山(同)は、19年3月期の海外販売額が前期比1・5倍に増えた。今期は前年にあった羽毛布団製品が羽毛原料価格の上昇で、企画の価格に合わずに外れたことが響いて19年4~11月は前年実績を下回っている。ただ中国での羽毛布団の普及率が10%程度とされる中、「まだまだ伸ばせる魅力ある市場」(伊藤忠一社長)と位置付ける。

 各社の売上高に占める海外販売比率はまだ低いが、寝具のサイズ対応や物流、店舗運営における現地販売員の教育と定着化など課題にも取り組み拡大を図る。