帝人/消防隊員の熱中症予防へ/新モニタリングシステム開発

2019年08月30日 (金曜日)

 帝人は、消防隊員向けのモニタリングシステムを開発した。熱中症を起こしにくくするために消防隊員が行っているトレーニングに応じるシステムで、センシングデバイスを用いて深部体温を予測し、トレーニング内容の適正状況を可視化する。2020年度にレンタルで展開を始める。価格は1人月間5千円。

 炎から身を守るために防護衣料を重ねて着用する消防隊員は全国で11万人いるとされるが、熱が蓄積されることで熱中症を引き起こすケースがある。事前策として暑さに体を慣らすための暑熱順化トレーニングなどが実施されているが、この暑熱順化によって深部体温が低くなると、体熱が逃げやすいといわれる。

 新モニタリングシステムは、同社と大阪市立大学が消防局などの協力を得ながら蓄積したデータを活用し、独自のアルゴリズムでトレーニング中の深部体温を予測する。これによって熱中症のリスク予知を行うとともに、体力状況に応じた効果的なトレーニングを計画・実施、管理する。

 帝人グループで、IT事業を手掛ける子会社インフォコムと開発したセンシングデバイスを採用。防火服などの胸部に配置し、非接触で予測するのが特徴の一つ。各データはリアルタイムでパソコンに送信され、一元管理の下、時系列で確認できる。

 20年度に暑熱順化トレーニング向けとして実用化し、センシングデバイスとパソコン、中継器をリース形式で提供する。帝人フロンティアが開発したトレーニングウエアやトレーニング実績データをオプションで用意する。25年度には全国に約750ある消防本部の20%に普及させたいと言う。