新しい膜技術でサウジ公団と覚書/東洋紡

2019年11月25日 (月曜日)

 東洋紡はこのほど、海水淡水化プラントから排出される濃縮海水を効率的に利用する新しい膜技術を実用化するため10月9日、サウジアラビアの海水淡水化公団(SWCC)と東洋紡の連結子会社アラビアンジャパニーズメンブレンカンパニー(AJMC)とともに共同実証実験実施に関する覚書を締結した。

 3者が目指すのはブライン(塩水)コンセントレーション(濃縮)膜(=BC膜)と呼ばれる高濃度の海水を処理するための新しい膜技術。

 BC膜の活用で、海水淡水化プラントで真水を製造する過程で排出される濃縮海水を(1)希釈された海水(2)さらに高濃度な濃縮海水―に分離できる。

 前者を同プラントで再利用すれば増水量を増やすことができ、後者からは蒸発・結晶化工程を経て効率的な有価物の回収が期待されている。

 東洋紡は1980年代から同プラント用に中空糸型逆浸透膜を供給してきた。同膜が作り出す真水は1日当たり約160万トンになり、640万人分の使用量に相当するという。