産資・不織布通信(22)/東レ 炭素繊維複合材料事業/強みを生かして成長を
2020年01月27日 (月曜日)
東レの炭素繊維複合材料事業の大きな強みは、レギュラートウとラージトウの両方を持つことだ。2020年度(2021年3月期)が初年度の新中期経営課題では、多用途に展開ができるという強みを生かし、航空・宇宙や自動車向けのモビリティー、エネルギー、ライフクオリティー&セーフティーの三つの分野での成長に力を入れる。
炭素繊維は旺盛な需要が続く。19年で8万㌧強だった世界需要は、22年には10万8千~11万㌧に拡大すると推計され、中国や韓国の企業による生産増強も予想される。炭素繊維の生産を開始して50年がたつ東レには顧客からの信頼があり、その面でも後発企業に差をつけている。
炭素繊維には、繊維と中間基材、コンポジットの三つがあるが、中間基材で熱硬化と熱可塑の二つを展開している。主力の一つに数える航空機用途は、燃費などの観点から25年ごろにはミドルサイズ機が主流になると言われ、より短時間で成形できる熱可塑の中間基材の採用が増えると予想されている。
熱可塑では、傘下に収めたトーレ・アドバンスト・コンポジット社が欧州と米国に拠点を持つ。欧州にはエアバス社(フランス)が、米国にはボーイング社が存在し、ここでも優位性が発揮できそうだ。ボーイング社とは垂直統合型のビジネスを構築できているが、「エアバス社に対しても糸だけでなく、中間基材まで直接提案できるようにすることが課題」と捉える。
航空機以外のモビリティーでは自動車が重点分野になり、中間基材の販売を一層強化する。エネルギー分野では、レギュラートウが使える圧縮天然ガス(CNG)タンクや水素タンクなどの補強材、ラージトウは風力発電翼用途に重きを置く。ライフクオリティー&セーフティーでは医療用途などに目を向けている。
次の中期経営課題ではマテリアルシステムをきっちりと確立する。糸売り、中間基材売りにとどまらず、どのように使えばコストが抑えられるかといった部分にまで踏み込んだ提案を行う。衝撃や熱などに対する解析技術も持ち、糸から成形加工に至るまで一貫でのテクニカルサポートを提供する。
多くの強みや優位性を発揮している同社だが、これからは中国品などの質も確実に向上してくる」とし、「品ぞろえや製品の品質で手を抜くことは許されない」と強調する。




