帝人フロンティア/「エコペット」を前面に/アセアンでニット生産拡大

2020年01月31日 (金曜日)

 帝人フロンティアは21春夏向けのスポーツ素材で、ペットボトル再生ポリエステル「エコペット」を中心とするエコ素材のラインアップを重点的に投入する。また、アセアンにおけるニット生産体制を増強し、スポーツ素材の拡販につなげる。

 同社によると、最近のスポーツ商戦では「エコ素材を提案できなければ受け入れてもらえない」(中谷太一テキスタイル第一部長)と言う。既に海外のアウトドア向けのほとんどをエコ素材に置き換えたとしており、今年で25周年を迎えた「エコペット」を核に2020年度はスポーツに占めるエコ素材の比率を3分の2以上に引き上げる。

 21春夏商戦に向けては、「アスティ」や「シャドウリップ」を打ち出す。アスティは綿のような質感、表面感が特徴で、吸汗速乾性、肌離れの良さなどの機能性も持たせた。20春夏でトライアル販売を実施。エコペット使いもラインアップし、21春夏から綿のTシャツなどのゾーンに売り込んでいく。

 シャドウリップは凸凹がないフラットな表面感、ソフトな風合いとともに引き裂きや摩耗への強度を引き上げたポリエステル軽量織物。ダウンウエアの表地に代表されるナイロン軽量極薄織物のゾーンに打ち出す。

 主力の高バランス「デルタ」では、メガブランドからのニーズに対応しエコ素材による商品群を拡充。デルタと「ソロテックス」をミックスした「デルタSLX」でも企画の幅出しを急いでいる。

 同社は織物に比べ遅れ気味だったニットの海外生産増強に力を入れている。スポーツ素材の「70~80%を海外生産できる体制構築を目指す」としており、インドネシアを中心とする取り組みを急ぐ。

〈メンズ拡大に意欲〉

 デルタとソロテックスとの複合素材でメンズジャケット・パンツをターゲットとする販促を進めており、両素材交編によるトリコットが香港やドイツのブランド、日本のセレクトショップに採用されている。織物のようなハリ・コシ、家で洗える、シワになりにくい、強度があるーーなどが評価されているといい、シャツ用に販売する汗冷え防止素材「トリプルドライカラット」も合わせて、メンズビジネス・カジュアルのゾーンに攻勢をかける。

〈PVでエコフレンドリー訴求〉

 帝人フロンティアは2月11日から13日まで仏パリで開かれる「プルミエール・ヴィジョン(PV)」に出展する。今回で10回目。“エコフレンドリー”をテーマに再生ポリエステルや原料の一部が植物由来の素材などを出展する。

 主なプロモート素材は次の通り。

 再生ポリエステル=ペットボトル由来の「エコペット」、繊維くず由来の高品位再生ポリエステルによる撥水(はっすい)「ミノテック」やサマーウール調・シルク調素材▽「ソロテックス」=PTT長短繊維の植物由来タイプ▽「デルタピーク」=再生繊維使いやマイクロプラスチックが発生しにくい保温素材▽環境配慮型撥水加工=「ミノテック」にフッ素フリー、PFOAフリーの撥水加工を施した機能ファッション素材