帝人フロンティア/重布でリサイクルを開始/システム訴求で需要喚起

2020年02月05日 (水曜日)

 帝人フロンティアは、テント用途などで展開している重布のリサイクルに乗り出している。同社製重布はポリエステル生地と塩化ビニール(塩ビ)樹脂を組み合わせたタイプが多く、再利用は難しいが、協力工場との連携で可能にした。業界でのニーズはまだ少ないが、積極的にアピールして需要喚起を図る。

 テントやトラックシートなどに用いられる重布は、ポリエステルをはじめとする生地に塩ビ樹脂を塗布・含浸することで防水や防汚といった機能を付与している。塩ビとポリエステルが混ざるためリサイクルが困難で、産業廃棄物として処理されるのが一般的となっている。

 協力工場で、重布を細かく破砕し、比重でポリエステルと塩ビに分けることに成功。塩ビはフロアシートなどに再利用する。より難しいのは、どうしても少量の塩ビが残るというポリエステルの活用で、「産業資材用シートの補強材などへの応用を進めたい」(繊維資材第一部)と言う。

 同社は、2019年に産業廃棄物広域認定制度の認定を受け、複数の都道府県にまたがって産業廃棄物の収集・運搬が可能になった。工場廃材で一部取り組みを始めているが、使用済み製品の再生も視野に入れる。

 重布業界でリサイクルの強い要請はまだないが、「産業廃棄物の減少に少しでも貢献したい」と話す。

 繊維資材第一部は、リサイクルの推進に加え、2020年度(21年3月期)の基本方針として「暑さ対策」などを掲げる。暑さ対策では独立型のオーニング(可動式テント)用生地の提案などを強める。重布は一般的に1平方㍍当たりの目付が500㌘以上とされ、軽量化も課題に挙げる。