「ミラノ・ウニカ21春夏」日本コーナー/来場低調で明暗分かれる/サステ定着で独自性に脚光も
2020年02月06日 (木曜日)
【ミラノ=泉克典】世界有数の国際素材見本市「ミラノ・ウニカ(MU)21春夏」が4日、ミラノ近郊のロー・フィエラミラノ見本市会場で開幕した。30社・団体が参加した日本コーナー「ザ・ジャパン・オブザーバトリー」(JOB)は初日、新型肺炎の影響もあり「人通りがまばらな印象」との声がある一方、「例年通り」「来るべき客は来た」と言う出展者も一定数あり、明暗が分かれた。会期は今日6日まで。
MU全体の方針に呼応して、日本トレンドコーナーもECOマークを用意するなどサステイナビリティー(持続可能性)対応姿勢をより鮮明にした。出展者も大半が「対欧向けでは当然の前提」として、再生合繊から珍しい天然繊維使い、環境負荷低減加工まで多様な切り口をそろえた。
エコ対応標準化の中、多くの来客を集めたのは、独自の生産技術や用途提案と結び付けた出展者。常連の東レウルトラスエードはトップメゾンでの採用を糸口に衣料以外の周辺用途開拓を目指してきた。ファッション向けは植物由来原料比率の向上に合わせて部分バイオ素材への置き換え提案を行う一方、従来品を含め備蓄販売する厚地も一貫して増強。インテリア、シューズ、バッグ向けを強化。初日で20数件の商談をこなした
齋栄織物は薄地シルクに加え、今回からエコ対応素材として極細番手レーヨンとの交織生地を打ち出した。「人気の塩縮加工シルク“3Dシルク”に目を引いた客が、三つに1つはエコ素材をピックした」。来客は昨年以上で、その8割が新規。既に着分受注も得ている。
麻産地の湖東繊維工業協同組合3社も国内の売れ筋を捨て、三者三様に欧州好みの展示品を意識的にそろえ、ブース前に100色に染め分けサンプルボードを置き人目を引いたことも奏功。各社20件近い来客を得て、着分依頼の感触もつかむ。
エコ潮流を背景に各種麻素材の使比率が上がる欧州で傾向も追い風に「厚地アウターに絞った今回は、以前と違い作り込みに向けた具体性のある商談が多い」(麻絲商会)「綿クレープの価格対応品から特殊シルケット塩縮など高単価加工までメリハリをつけた加工品種は大変受けが良い」(大長)「以前と違い価格面はスルーで、ヘンプや竹の交織など自社独自のサステ素材に高評価を得た」(滋賀麻工業)。
「エコ素材一般化・陳腐化で、それにとらわれない独自技術の高品質テキスタイルへの注目がかえって高まっているのも事実」とはある出展者の欧州駐在員の言。初日の客入りはそれを裏付ける。




