「ミラノ・ウニカ21春夏」の日本勢/各出展者とも集客に苦労/新型肺炎も直接・間接に響く
2020年02月07日 (金曜日)
【ミラノ=泉克典】「ミラノ・ウニカ(MU)21春夏」の日本コーナー「ザ・ジャパン・オブザーバトリー」(JOB)の2日目は、午前中から初日以上の人通りで、各ブースでも来訪したバイヤーと商談する風景が多く見られた。ただ「昨年、前回より人通り・来客とも絶対数が少ない」というのが大多数の感触で、集客への周到な準備の重要性を印象付けた。
生地商社の備蓄販売は、各産地の多彩な個性的商品やエコ・サステ素材の充実と並ぶJOBの売り。これまで「発注後の即発送が生命線」(宇仁繊維)、「継続客ほど“イージー”“シンプル”と高く評価する」(サンウェル)など即応力で成果を上げてきた。前回展からJOBに参加した豊島も、食品廃棄物由来染料による「フードテキスタイル」ではエコの観点に加え、海外では、ほぼ全品番の備蓄体制も訴求している。
ただ、今回は、「出張禁止措置で直前でアポキャンセルもあった」(瀧定名古屋)など新型肺炎の直接・間接の影響で、既存・新規双方で集客には例年より苦労した。
宇仁繊維は「キュプラなどのエコ品番に加え、サテンジャカードやカットジャカードなど独自性ある意匠物が人気」だったが、商談件数は大きく伸び悩んだ。「目先の商品探しだけか、新たな仕入先として求められているのか」見極め、「即応可能品番数以外に工場背景をもっと訴求してもよい」と課題を話す。
今回も安定した集客力を見せたのはスタイレム、瀧定名古屋。いずれも周到な事前準備が光った。
コレクションの約半数をエコ・サステ素材にして臨んだスタイレムは、既存客とのアポを満遍なく割り振り「常に来客がある印象づけで、新規客も呼び込み、現地でブランドイメージ浸透も図る」。会期の直前に、海外向け「ゼン・キワミ」コレクション専属チームを置き、商談で得た顧客ニーズを、各産地と組んだモノ作りに迅速にフィードバックする体制も整えた。
瀧定名古屋は、手薄なイタリアのトップメゾン攻略と生地・製品の一貫提案強化に向け、昨年11月にミラノ市内に現地エージェントと共同でショールームを設置。対象シーズン向け生地コレクションを携えて行う年末の訪問営業から、MUでの調整を経て、さらにその後、生地コレクションの目指すライフスタイル・世界観を製品でも提案できる一連の流れを作っている。




