MUのボット・ポアーラ会長/サステの意義、改めて強調/後任にバルベリス・カノニコ氏

2020年02月07日 (金曜日)

 【ミラノ=泉克典】「ミラノ・ウニカ21春夏」(MU)のエルコレ・ボット・ポアーラ会長は開幕セレモニーの基調講演で、今期での任期満了を念頭に、自ら主導してきたサステイナビリティー(持続可能性)重視の意義を改めて強調するとともに、後任となる次期MU会長も発表した。

 ボット・ポアーラ会長は冒頭、新型肺炎や豪州森林火災を例に「公衆衛生、国際貿易の両面で深刻なリスクを抱える」世界経済の現状に触れ、「われわれに可能なのは、サステイナビリティー追求だ。産業界の責務のハードル、提案の創造性のレベルを同時に引き上げることが重要」と述べ、「新世代の感性を反映する市場ニーズの的確なくみ取り」にもそれが必須と続けた。

 トレンドエリアも、展示サンプル全体の3分の2を占めるサステイナビリティープロジェクト関連生地に加え、関連研究まで同一テーブルで一体化させて展示。単なるスペース共有ではなく「創造性とサステイナビリティーの文化的・実践的融合を意図した」。背景には「近未来のテキスタイル産業で、各製品の認証のみならず全生産工程の認証で価値が測られる」時代が近く来るとの認識がある。「コストも伴う容易ならざる事業だが、業界全体で負うべき負担と責任を認め、受けて立つべき挑戦だ」と締めくくった。

 セレモニーを締めくくるに当たり、ボット・ポアーラ会長はこの方向性を支持・支援してきた出展者に感謝を述べ、次期MU会長に就くイデアビエラ会長でヴィターレ・バルベリス・カノニコ社長のアレッサンドロ・バルベリス・カノニコ氏を壇上で紹介した。

〈30回の節目に記念パーティーも〉

 MUは今回展で30回の節目を迎えた。基調講演では歴代会長の功績を振り返る映像が上映されるとともに、初日の終了後には記念カクテルパーティーが開催された。パーティー冒頭、MUの核をなす「イデアビエラ」展を組織するビエラ産地の中心ビエラ市が、このほどユネスコ創造都市に選出されたことが紹介された。クラウディオ・コッラディーノ市長、デザイナーのフランコ・フェラーリ氏も駆けつけ、ボット・ポアーラ会長とともに30回記念と創造都市選出を祝った。