春節休業は明けたが営業再開も通常に戻らず/認可制や休業延長も
2020年02月12日 (水曜日)
新型肺炎感染が広がる中、10日に中国の春節休業が明けた。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、操業再開の認可・届け出制は、広東省深セン市だけでなく、浙江省も許可制となった。操業再開にはマスクや消毒液などの感染予防・防止製品の確保が必要。重慶市も操業再開の申請書と感染防止管理の承諾書提出を求める。市政府による個別通知もあり、操業が17日以降に延期された地区もある。営業再開とはいえ、出勤できない従業員もあり、通常営業に戻るには時間を要しそうだ。アパレル製品の納期遅れも必至となりそうだ。
〈南通、無錫は休業延長に/検査機関〉
検査機関にも操業再開で影響が出ている。中国の南通、無錫では10日営業再開の予定だったが、市政府から14日まで休業延長の指示が出た。このため、カケンテストセンター(カケン)の南通分公司と無錫試験室は17日からの営業となった。日本繊維製品品質技術センター(QTEC)も南通と無錫試験センターが休業を延長した。ボーケン品質評価機構の南通事務所、常州試験センターも10日開始を延期した。
行政機関からの延長通達もあるが、無錫や常州では新たに入国した人は、2週間の自宅待機という通知もあり、春節明けで現場に戻っても通勤ができない駐在員がいる。
〈納期遅れは確実か/アパレル〉
「休業は今日10日までの予定だったが、厳しい状況にある」と、レナウン。同社も中国に委託工場があるが、「従業員が通常通りに集まらない工場がある。省市によっては、マスクや消毒液の確保が操業再開の条件になり、大手工場ほどその手当ができず10日操業を断念したところもある」と、縫製工場の全面再開は当面難しいとみる。
春節で帰郷したが、長距離バスの運行見合わせや鉄道の減便もあり、交通手段が制限されて戻れない従業員がいる。このため、「どの商品がどのくらい遅れるのか、現状分からない。正確な情報を入手できるのは先になりそう」と言う。
イトキンも「商品や工場の状況を把握中。現状では納期遅れの懸念が出てきそう」と話す。三陽商会は5日に危機管理委員会の対策本部を立ち上げて情報収集中。従業員の衛生管理や納期などを調査している。アダストリアは「状況把握を行っているところで、影響がどの程度か分からない」という。納期遅れは確実に生じそうだ。
〈トラック不足の懸念も/物流〉
「中国の事務所は10日、6~7割動いた」と総合物流の日新。とはいえ、省市によって状況が異なっており、周辺の感染状況を見ながら「在宅勤務などで対処している事務所もある」と言う。
港湾は365日・24時間動く。春節期間中も人数を減らしながらも交代で出勤し、通関も業務を遂行した。マスクなどが緊急輸入できたのも、この体制があったからだ。
しかし、春節休業が終わっても、「交代要員がどれだけ戻って来れるか。マスクがないと公共交通機関が使えない地域もある。新型肺炎関連の物資輸送が優先されており、トラック不足が予想される。道路の渋滞も見込まれ、配送時間が読めなくなるのではないか」と指摘する。
〈素材メーカー/10日から営業活動を再開/一部製造拠点は再開せず〉
春節休暇延長が明け、10日から素材メーカーの中国拠点も活動を再開した。ただ、一部では休暇延長や当局の審査待ちもあり、まだ完全再開には至っていない。
東レは一部の中国子会社で、「再稼働までもうしばらく時間がかかる」見通し。小松マテーレは自主的に休暇を延長し、上海拠点、小松精練〈蘇州〉とも操業再開は17日からの予定。
一方、帝人フロンティアグループの南通帝人は10日から操業を再開した。また、日岩帝人汽車安全用布〈南通〉、帝人汽車用布加工〈南通〉、帝人〈中国〉繊維商品開発も同様に再開している。
セーレンは中国4拠点とも10日から操業を再開した。4拠点のうち世聯汽車内飾〈蘇州〉と世聯汽車内飾〈河北〉は自動車関連で、中国だけでなく日本や米国向けもあるため、操業を再開して備えることとした。
日清紡テキスタイルは、日清紡績〈上海〉が10日から営業を再開したが、日清紡績〈常州〉は当局による現地確認監査を待っている状況。既に再稼働申請は終えているが、10日午前時点では監査日程は未定のままだ。
シキボウは上海敷島家用紡織、湖州敷島福紡織品とも10日からの稼働を予定していたが、欠勤者が多く、15日まで現場従業員を待機させることとした。
ニッケグループは青島日毛織物、上海高繊制紐が10日から再稼働したが、江陰安碧克特種紡織品はまだ稼働に至っていない。春節休暇の延長で、衣料繊維事業の一部工場で生産が遅れる可能性があるが、状況を見ながら日本での代替生産で対応する。産業機材事業も「自動車関連や調達などで広く影響が想定される」とし、原料調達は代替品や他ルートからの調達も検討する。




