大和紡績/人材、技術の融合を徹底/SDGs、ESGが事業軸

2020年02月12日 (水曜日)

 ダイワボウホールディングスは4月1日付で事業会社のダイワボウポリテック、ダイワボウプログレス、ダイワボウノイ、ダイワボウアソシエを中間持株会社である大和紡績に統合し、繊維事業の一体化を進める。事業再編によって大和紡績は繊維事業の人材と技術の融合を徹底し、SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)を事業戦略の軸に据え、全体最適化による繊維事業の拡大を目指す。

 大和紡績の斉藤清一社長は今回の事業会社再編に関して「各事業会社ともこれまでの努力で自立して事業運営ができる体制になっているが、次の成長に向けて繊維事業として全体最適を目指す必要がある」と説明する。

 事業会社統合後は、合繊、産業資材、製品・テキスタイルの各事業本部と管理本部の体制となるが「人材と技術の融合を徹底し、全体最適化を進める」。特に各事業ともSDGsやESGを事業戦略の軸に据え、その上で独自性のある原料や加工技術を積極的に活用する「ファイバー戦略」を横断的に実行する。

 合繊事業はポリプロピレン(PP)や綿に加えてグループ会社であるダイワボウレーヨンのレーヨン短繊維も積極的に活用する。綿やレーヨンを活用することで衛材やコスメ分野でも高まる生分解性商品へのニーズに応える。そのため、綿不織布でも国際綿花評議会の「コットンUSA」認証を取得する手続きを進めている。

 産業資材事業は「5G(第5世代通信技術)の普及に向けて半導体関連でフィルターの需要が拡大している」としてフィルター材の拡大を進める。出雲工場(島根県出雲市)でフィルター材の生産を集約する新工場の建設も始まった。防災関連や災害復興関連の土木・建設資材にも力を入れる。

 製品・テキスタイル事業は「ファイバー戦略を徹底し、他社にない商品を開発する」として、こちらも綿やレーヨンによる生分解性や衣料用PPによる機能素材の開発を縫製品と連動する形で加速させる。

 新たに次世代ファイバー開発推進統括も新設する。繊維事業の技術を分野や用途を超えて融合させ、生分解性やリサイクル、マスターバッチによる機能化の研究を進める。そのため、提携している信州大学繊維学部の産学連携施設「ファイバーイノベーション・インキュベーター施設(Fii)」への研究開発派遣も全事業を対象に増員する。