帝人フロンティア/増産・高度化で収益アップ/5月に増産分をフル操業

2020年02月14日 (金曜日)

 帝人フロンティアはポリエステル短繊維事業で、今後も付加価値路線を徹底する。付加価値素材の増産で収益拡大を目指すのか、生産品種の一層の高度化で収益率を引き上げるのかを見極め、2020年度からの中期計画で実践に移す。

 同社はポリエステル短繊維の生産を徳山工場から海外に移管する事業構造改善策に17年度でめどをつけ、18年度でその後の体制固めを推進してきた。

 新体制の実質スタートとなった19年度は、詰めわたの販売で苦戦を強いられるなど用途間にばらつきが見られたものの、「全体としては前年よりも多少、業績を改善できる」(宮堂倉一執行役員短繊維素材本部長)と言う。

 昨年の夏、インドネシアの協力工場で衛材向けのバインダー原綿を数10%程度、増産。客先での評価が完了する4~5月ごろには増産分をフル操業させられると見通している。

 タイのグループ会社・TPLでは衛材向けの高付加価値タイプや湿式不織布向けの原綿を生産しており、湿式向けの販売が堅調だ。

 各社の増設・増産で衛材向けバインダー原綿の需給バランスは現在、崩れているが、「グローバルに見ればまだまだ成長市場」とし、増設・増産で収益拡大を狙うのか、高付加価値化をさらに進め収益率の向上を図るのか、今後の動向を見極めた上で適切な対策を打つ。

 18年度に買収した独ジーグラーとは、TPLから不織布向けの原綿供給をスタートさせるなど「少しずつシナジーが生まれつつある」と言う。今後も高付加価値素材による連携でジーグラーの商品ラインの高度化に取り組む。

 ペットボトル再生「エコペット」は「着実に増えている」と言い、西日本ペットボトルリサイクルとの連携を改めて強化し再生原料の安定調達を目指す。