東洋紡 スパンボンド事業部/水平連携で相乗効果/原反輸出を拡大

2020年02月25日 (火曜日)

 東洋紡のスパンボンド事業部は新型肺炎騒動に伴う影響拡大を踏まえ、2020年度は前年並みの業績確保を目標に商品開発、販促に取り組む。「コスモフレッシュNANO」の本格販売に意欲を示しているほか、機構改革に伴う相乗効果の具体化を急ぐ。

 東洋紡は年産1万2千~4千トン体制で主力用途の建材・自動車・土木向けにポリエステルを展開している。19年度は、上期までは堅調だったものの、「下期以降、状況はよくない」(西阪剛志スパンボンド事業部長)と言い、米中貿易摩擦や消費増税の影響で自動車や建材向けが減速に転じたという。

 20年度は、この間、強化してきた重金属イオン吸着シート「コスモフレッシュNANO」の本格販売をにらんだ取り組みを加速する。土木工事の際に発生する残土から有害な重金属イオンなどを含んだ水が流出することがあり、同素材は重金属イオンを吸着し土壌汚染を防止する。

 現在、ある大学と連携し性能がオールマイティーなのかどうかを確認する実証実験を繰り返しており、ここで得られたデータを改めて訴求し、早期量産につなげたい考えだ。

 東洋紡は4月1日付の組織改正で繊維機能材本部と機能膜・環境本部を改編・統合し生活・環境ソリューション本部を発足させる。傘下に本体や関連会社の不織布事業を配置した。これに伴う水平連携を改めて強化し、複合品も含めた特化素材の開発でスパンボンド事業の高度化を図る。

 輸出拡大にも意欲を示している。昨年9月、米オハイオ州に駐在員を派遣しマーケティングから着手したほか、メキシコには外注拠点を確保。日本から輸出する原反を自動車関連資材に加工し米国に供給するビジネスを昨年5月に立ち上げている。これらの活用で米国向けの輸出拡大を目指すとともに、まだ手付かずの東南アジアでも「同様の取り組みを考えたい」としている。